自分の作業環境を定期的にチェックすることにしている。仕事の環境は「仕事をしやすく、快適なこと」が大切だ。これをもう少しかみ砕いて考える。
「仕事をしやすい」「快適」とはどういう状態か。「快適」は本来「仕事をしやすい」の一要素ではあるが、「しやすさ」だけではないプラスαを考えてここではあえて別にした。
「仕事をしやすい」というのは、作業場所に十分な広さがあり、道具や材料が手近にわかりやすく置かれていて、かつそれらが扱いやすく十分に機能を発揮することができる状態にある、ということだろう。さらに作業を阻害する要因を十分遠ざけておくことも大切だ。
次に「快適」だが、ここでは例えばいい音楽とか気持ちの良い空気、飲み物やスナックがあったり、そしてこれはとても重要なことだが「遊び心」があることである。
日本人は生真面目で「仕事」≠「遊び」であり、「仕事とは耐えることで、ずっとオレもそうしてきた」みたいな大馬鹿者が職場に一人でもいるとそれはもう辺り一帯を巻き込んで皆で不幸になる。「(仕事とは)そういうものだ」とか「そういうものじゃない」が口癖の者がいても同様だ。対処法は1つしかない。「テキトーにおだてて、ある程度目をつぶってもらう作戦」である。これはかなり有効なので試してみるとよいだろう。ちなみに「どーもやりたくない」ことはその逆をすればよい。すぐにやらなくてすむようになること受け合いだ。
さて、個人事業主である私は上記とは完全に縁が切れて、今となっては敵は自分だけである。だがこの「自分」が予想以上に強敵なのである。つまり「つい・・・」、「時間がなくて・・・」、「今はこれをやらないと・・・」といった言い訳をはじめる。これはデザインに限らないと思うが「言い訳の仕事」はロクなものにならない。やれ「時間がないから」だの「クライアントの要望通り」だとか、そういう人とは絶対チームを組まない。つまり共同作業はしない。きっぱり。そしてこれが大切なことだが自分自身がそういう言い訳モードの罠に落ちないように常に気を配る必要がある。
どんなに忙しくても何度かの、「待てよ・・・」が必要であり、ぱっと立ち上がって「あたりを見渡す」のが必要なのだ。私の場合は、「待てよ・・・」はコーヒーを飲みながらやこうしてブログを書きながら考えることにしている。「あたりを見渡す」は近くに置いてあるデジカメで作業環境の写真を撮ることにしている。ちなみにこのぱっと立ち上がって写真はすごく効果的だ。このとき当然だが一切片付けてはダメだ。ありのままを撮る。そして眺める。眺めるだけでよい、何がダメなのかすぐにわかる。すごく効果的だ。
今回も撮ってみた。
まずは作業机。ここは、娘が昨夜遅くまで作業に使っていた。ただし寝る前に片付けることをルールにしているので今は割とキレイだ。作業しながら飲んでいた麦茶のグラスが残っている程度、まあよいだろう。
作業机のヨコには金尺(金属製の定規)が4本とブラシなどが下げてある。金尺は使用頻度がとても高い道具なので常にここにぶら下がている。定規は材料の下に埋もれやすく、いつも探してばかり、というのは時間のムダなので、連続して使うときを除きすぐに戻すことを心がけている。金尺は「アル助」だったかな、そんな名前のアルミの定規でとても使いやすい。裏に滑り止めのゴムが貼ってあり、カッター仕事ではずれにくく優秀だ。長さは、30cm、45cm、60cm、1mの4種類を使っている。ただしアルミなので正確な長さは測ることができない。アルミは温度で伸び縮みが大きい。1mの定規で気温が40度変わると1ミリ差が出る。20度でも0.5ミリ変わる。0.5ミリは場合によっては無視できない。ただし室温が15度〜25度くらいで保たれていれば、あまり神経質にはならないでも良いが、一応誤差が出ることは知っておくことが大切だ。
さて、次
ここはコンピュータの机のヨコのサイドデスク。ここは散らかりやすい場所である。そもそもこのサイドデスクというのは仮置き場であって、仕事の資料やファイル、メモなどを置いて、それらを見ながらMacで作業をするための場所である。だから仕事中はある程度物が置いてあるのは仕方がない。麦茶のポットとおつまみの瓶もまあ仕方がないだろう。さらに見てみると奥に名刺整頓のローロデックス、その手前にスケッチを描いた黄色のメモ用紙、スタンドの足元にポストイット、あとはペンとファイル用の輪ゴム。それに電話機やメモブロックなどなど置いてある。
ただし冷静に考えれば、ここは改善の余地がありそうだ。まず奥行きがあまりないところに麦茶のピッチャーはどうだろうか。仕事中の水分補給は頻度が高いので席を立たないですむほうが良いが、天板の下でもよい。また、固定電話機はいらないかも・・・。もともと名刺の電話番号が携帯電話だけというのがインチキ商売っぽくて嫌だったから設置したのだが、最近いろいろな会社が名刺には携帯電話オンリーとしていて、それなら私も、と名刺から固定電話の番号を消してしまった。
それだけでもずいぶん変わるはずだ。
次はサイドデスクの延長線上の棚である。
手前から、メモブロック、置物のバレリーナ、置き時計、アンプと置いてある。アンプのヨコはカラーインクジェットプリンター、そしてその上は本棚である。カラーインクジェットプリンターにはホコリよけの黒いカバーがかけてある。また、本棚には本のほか、ポストカードが立ててある。またアンプの上には自作のオブジェ、プリンターの向こうにはアート作品が置いてある。
まあ、ここはこのままで良いだろう。
問題はさらにその上、見えないところにLANの機器が置いてある。見えないのでケーブルもごちゃごちゃしている。ここは少し整頓した方がよいだろう。
さて、今日は外注に指示を出したり、印刷の手配をしたり、請求書を送ったりクライアントと電話で話したりと雑用が多かった。手のかかる面倒な仕事は自分自身にエンジンをかけてこれが温まる前に別のことで邪魔をされるとやりにくい、非常にやりにくい。いろいろと考えていることが飛んでしまうので。なので今日の仕事はキャラクターデザインのブラッシュアップとコンセプトブックづくりにした。これなら途中で邪魔が入ってもすぐに復帰でき、中断が問題ないので。
このキャラクターはクライアントから地方で展示会があるので少し相談にのってほしい、と依頼された仕事である。ブースデザインと展示パネルの制作というのが依頼内容だったのだが、キャラクターつまりマスコットの提案をしてみた。建設系の展示会はたいていツマラナイ。乱暴に言うと遊び心がまったくないからである。ふざけた展示がいいという意味ではなく、製品や技術のコンセプトをただツラツラと書いただけのパネルでは多くの人の記憶にはとどまらない、ツマラナイ。だから今回はキャラクターをデザインしそれに少し説明を手伝ってもらう手法を提案した。それで先日プレゼンがあったのでその趣旨を説明し採用されることとなった。こういう会社は大事にしたい。どういうことかというと、このように予定のないもの、特に予算しばりが厳しい場合はまず「却下」されることがほとんどだからである。「おもしろいけど今回はそこまでは・・・」「予算的にちょっと・・・」「もう会議で方針が決まっていて・・・」「上に説明するのがいまさら・・・」と。8割くらいは跳ね返される。そういう会社にはうんざりである、というのは嘘で、全く気にならない。こちらも「だめ元」だからである。
今回は採用になって良かったが、費用縛りが厳しいらしいので、極力費用を抑えながら効果的に使う提案を考えることにした。詳しい説明はここでは書かないが、キャラのコンセプトを説明したら喜んでもらえたので、それを冊子にまとめることにした。もちろん配布する予定は全くない。だが展示する・しない、配る・配らないに関係なく出展する当事者に楽しんでもらうこともあっても良いのだ。そう、「仕事とは耐えること・・・」「ムダを省いて効率的に・・・」のあえて逆をいくのである。そう、一見矛盾したことを書いている。「キャラは効果的・・・」と「あえてムダかもしれないものを・・・」という相反する考えである。
そう、阿呆は「矛盾!」と言って喰ってかかるかもしれない、まさにここが仕事のものすごくおもしろいところなのである。この2項目が決して矛盾していないことは言うまでもない。こういうことが理解できない人とは仕事どころか、あまり話もしたくない。
で、つくったコンセプトブック。全部で10ページ。キャラクターの説明をさらりと絵本にまとめてみた。出版するわけではないので完成度は高めていない。そもそもそんな時間もない。これは3時間でつくった。わたしに今かけられる時間の限界がそれくらいということ。ちゃんと絵本にするならおそらく何十倍も時間がかかるだろう。だがストーリーは頭の中にできている。電車で移動中や夕食の準備をしながら、または寝ている時になんとなく考えていたものをツラツラと描くだけである。本来時間がかかる作業は絵本全体を通してキャラクターの連続した見え方である。少しむずかしい言い方をすると自己同一性の維持ということになる。絵本の中でキャラクターは当然動きがある。右を向いたり左を向いたり上を見たり・・・。この時キャラクターの特に顔が同じキャラクターに見えないとダメである。もちろん桃太郎が金太郎になるようなことは誰もしない。だがほんのわずか、微妙な違和感を感じないよう十分時間をかけて描いていくことが大切である。今回は時間の関係で顔はほとんど変化しない。ブルーナ方式である。だがブルーナはさておき、これでは作品に奥行きが出ない。だからここは大切というシーンであえて顔の向きや表情を変えることにした。ここに少し時間をかけた。ちなみに今回の絵本は幼児向けに販売するわけではないので漢字にルビは振らなかった。本来幼児向けであれば全ての漢字に、小学校高学年向けなら小学校で習う約1000字以外の漢字にはルビを振る必要がある。以前小学校高学年向けに作った絵本では漢字を全てチェックし、必要なルビを降ったり、ひらがなの方が良いものはひらがなにした。例えば「出来る」は「できる」にする。ちなみに私は「出来る」が嫌いなので通常の出版でも特にクライアントの希望がない限り「できる」を使うようにしている。
さて、できあがったコンセプトブック(絵本)は1部だけマット紙にプリントして製本した。できあがりをチェックするためである。娘がやってきておもしろがって見ていた。句読点抜けの誤植も見つけてくれた。
さて、その後クライアントとの打合せでこの絵本の印刷が決まった。部数は300と少なめだがそれでも配布するというのだから驚きだった。しかし同時に予算はかなり厳しいということで、あまり時間をかけてブラッシュアップすることは費用的にも時間的にもむずかしい。
仕方がないので、手弁当で半日かけてブラッシュアップして印刷所に入稿した。