前々回、 前回、と標準的な女性ポートレート、スナップの現像とレタッチについて解説した。もちろんこの2回で現像での調整項目すべてを説明できたとは思っていないしレタッチの方も同様である。
その他の調整、レタッチ手法はその説明にふさわしい題材があるときに少しずつ説明していこう。
今日は女性ポートレートでお化粧をしているモデルの顔と身体の色合わせについて説明する。つまりファウンデーションを塗った顔と塗っていない身体との連続が不自然にならないよう調整する方法についてである。
方法はいくつかあり、最も一般的なのはまず顔または身体が自然に見えるよう画像全体の露出や色温度を調整したあと、追加調整が必要な部分を選択範囲を作り調整レイヤーなどで補正する方法だろう。この場合の調整レイヤーは色調補正1つで済むこともあれば、色調と明るさを行う必要があることもある。ただし選択範囲は色補正も明るさの調整も基本的に同じものが使えることが多いのでレイヤーが増えても作業時間はそれほど増えない。また、色調と明るさが別の調整レイヤーになっていれば、後で個別に微調整することもできる。
この方法が面白味に欠けるというわけではないのだが、今日はちょっと違った方法を紹介しよう。RAW現像の際、顔を自然に調整したものと、身体を調整したもの、同一RAWから2枚の画像を作成し、この2枚を1つの画像に合成する方法である。この方法の良い点はRAW現像でそれぞれいい感じの画像をつくるので、顔と身体を同じように作業することができるところだ。良い例えではないが、ピザを作るときマルゲリータとペパロニを半々にしたいとき、前述の方法はいったんマルゲリータを1枚作って、そこからバジルを取り除いて別でグリルしたペパロニをのせるようなものだが、後述の方法は、マルゲリータ1枚とペパロニ1枚作っておいて半分ずつ食べるような感じである。後述の方がペパロニは美味い。また直感的だし分かりやすくもある。必ずしも後述の方法が常に良いという意味でではないが方法を覚えておくのは良いだろう。画像に応じて使い分ければ良い。ただし、後述の方法は簡単そうだが押さえておくポイントもいくつかある。順を追って説明する。
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撮影データをCameraRAWで開いたところ |
まずはRAW現像から。今回使うのはこの画像。例によって当時白飛びを恐れてアンダーで撮影、全体がくすんでいる。ではいつものようにAdobe photoshopプラグインCamera RAWを起動する。まずは1枚目、顔を自然に見えるよう調整する。
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顔が自然に見えるよう現像 |
このときは顔しか見ない。原則として他の部分の色味などは全く気にせず調整する。身体など色味をこれとはちがった調整をする部分は別データを作りそちらを使うからだ。
まあ今回の写真では、このままでも全体感はあまり問題ないレベルである。これでおしまい、とするのも間違いとは言えない。だがよく見れば顔と身体で色味が微妙に異なっている。あまり厚化粧ではないが顔に塗ったファウンデーションのせいだろう。肩や胸元腕など、顔に比べ色味がわずかにグリーンに寄っているように見える。また明るさも微妙に異なる。そして写真編集ではこのような微妙な調整が大切で、きちんと調整すれば、わずかだが着実にクオリティが上がる、私は、そういう編集を心がけることが大切だと常々感じている。
さて、このときポイント1。顔を調整したところでRAWデータをDNGで保存しておく。
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顔の設定のRAWデータをDNGで保存 |
CameraRAWはパラメータを調整して「開く」とその設定内容が保存される。つまり次回そのRAWデータを開いたときは一からやり直す必要はなく、前回の設定を必要な部分だけ変更することができる。これはとても便利な機能で、これなしではRAW現像なんてやっていられない、と言えるほどである。一度現像し書き出した後、やはりもう少し色温度をとか、露出をとか、ハイライトをとか、ノイズレダクションを、などと再調整することは実に多い。そのたびにまた1から調整をやり直しなんて絶対無理である。前回調整したパラメータなんてもちろん覚えていない。だから前回の調整状態で開いてくれるのはたいへんありがたいのである。だがここで新たに「身体」に合わせて再調整をすると、「顔」の設定は上書きされて消えてしまう。それは困る。後ほど顔を再現像することもあるからだ。そこで顔の設定ができたところでRAWをDNGでも保存しておく。DNGというのはRAWデータの汎用フォーマットでメーカーの種別なく用いることができる。もともとすべてのカメラメーカーに向けた汎用記録方式を目指して作られたフォーマットだが、カメラメーカーは独自フォーマットへのこだわりが強く、DNGはあまり普及しなかった。このあたり日本で液晶テレビ黄金期から衰退への道筋に似た、つまりデジタルカメラ王国日本の衰退の匂いがするのだが、多分気のせいだろう。まあいい。
さて、そんなDNGフォーマットだが、実際に便利だし、現像にCameraRAWを使う限りは問題ない。また元のRAWデータも残してあるのだから。
さて次、2枚目。今度は身体を先ほど現像した顔に合わせて色調整しながら現像する。ここでポイントその2は先ほど現像が終わった画像の顔の部分(Photoshop)を隣に置いておき、見比べながら作業すること。
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Photoshopの画像を下に置いて見比べる |
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現像の終わった2つのデータ、上が顔、下が身体用のデータ |
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背景に顔用、レイヤー1に身体用画像 |
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レイヤー1のマスクが黒、つまりレイヤー1は非表示となっている |
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顔と身体、そして腕の調整が終わった画像、ただしレイヤーが3つ |
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新規のレイヤーに結合された画像が作られる |
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上半分が顔のみに合わせて現像、下が別々に調整したものの合成 |
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完成画像 |






































