2021年4月4日日曜日

RAW現像とPhotoshopによる編集(追加編)




 最終回の今回は、Adobe Photoshopのぼかしフィルターを使って、写真にソフトフィルターをかけたような効果を与えてみる。その昔、フィルムカメラ全盛の頃はソフト効果をかけることができるレンズやフィルターがあったが今はもう見ない。Photoshopの後処理で手軽にソフト効果がかけられるようになったからだ。


だがなかなか効果的な使い方に関する説明がない。そこで今回は追加編としてソフトフィルターをかけたような効果について解説する。

まずは前回の画像、基本修正(レタッチ)が終わったところ。ここから始めよう。





この写真のレイヤーはこのようになっている



「背景」レイヤーの上に「色相・彩度1」がありワッペン(赤いボタンのワッペン)の彩度調整をしている。
その上の「明るさ・コントラスト1」で意図的な周辺減光を演出している。
それぞれ選択範囲のみに効果がかかるようになっているのがわかる(クイックマスク)。

ぼかしを加えるのは「背景」レイヤだが、この背景レイヤに直接ぼかしをかけても狙ったような効果は得られない。
単にボケてしまうだけだ。そこで、背景レイヤをコピーし、これにぼかしをかけ合成する。合成の仕方で元画像の芯を残した画像に柔らかなぼかしを追加する。
合成する追加レイヤーは2枚必要なので下図のように背景レイヤのコピーを2枚つくる。



どんな効果をかけたか、あとでわかるようにレイヤーの名称を変える。
20pixとは20ピクセルぼかしをかける、という意味。数値は写真によって異なる。
レイヤー名は作業が終わってから変えてもよい。



それぞれのレイヤーにフィルター>ぼかし>ガウスで20ピクセルのぼかしをかける。
すると下のようにかなりボケるが心配いらない。





コピーした2枚のレイヤに同じようにかける。下の「20pix乗算」の方は上のレイヤの表示を消し確認する。

次にそれぞれの追加レイヤーの合成モードと透明度を下のように変更する。



これで完了である。
ちなみに単純に元画像にぼかしをわずかにかけたものと今回の処理を各部で比較したのが下図だ。
左側が今回の処理、右が単純ぼかし3ピクセルだ。







単純ぼかしは、わずか3ピクセルだから、髪の毛は柔らかくなっていない。だがボタンはボケてしまって台無しだ。
芯を残して柔らかい効果を与えることが大切だ。




完成

これで今回のRAW現像からPhotoshopによる編集(レタッチ)までの一連の作業が完了した。あとは作業の終わった画像の解像度を必要に応じて変更し、保存する。解像度を変更する際は再サンプルしない。必ずオリジナルのピクセル数を維持する。再サンプルはブログやSNS、プリント時に必要に応じて、その都度行う。

最後にCamera RAWとPhotoshopでどこでCamera RAWからPhotoshopにデータを引き渡すかについて、私の考えを述べておこう。例えば現像そのものはCamera RAWにしかできないし、逆にPhotoshopにしかできない作業もある。
だが、部分的なゴミ取りや、部分的な画像補正などPhotoshopでなくともCameraRAWでできる作業もある。逆にPhotoshopに引き渡しからでも露光量やホワイトバランスなどCameraRAWでの作業と同じものがCameraRAWフィルターとして利用できる。

引き渡しのタイミングで重要なことは、2つある。

1つめは、ひとたびPhotoshopで細かな作業を始めたらもう1度CameraRAWで現像からやり直したり、CameraRAWフィルターは使わない方がよい。ということだ。
実はPhotoshopでの作業の80%以上は選択範囲を作ることに費やされる。今回の例で言えば赤いワッペン(ボタン)の選択範囲など、少なくとも数分かかる。だがスライダーでの調整は画像を丁寧に見ながら慎重にやっても数秒ですむ。
だから時間をかけて作った選択範囲を無駄にしないことが肝要だ。もちろん同一画像であれば選択範囲のコピーはできるが、いくつもあると面倒だ。
また、PhotoshopでのCameraRAWフィルターの使用は画像の劣化が大きいのであまり使わない方がよい。試しにかなりアンダー気味の写真をCameraRAWで露出補正をかけたものと、PhotoshopでCameraRAWフィルターで同じように補正したものをヒストグラムを表示して比較してみるとよくわかる。PhotoshopでのCameraRAWフィルターの方は階調の不連続(トーンジャンプ)が発生する。ヒストグラムがくし形になる。もちろんわずかな調整では問題ない。だがCameraRAWでできる限りやっておくことが望ましいと言える。

2つめ、Photoshopで複製レイヤーや調整レイヤーを使った作業はやり直しがしやすいという点だ。CameraRAWでは使えない機能だ。例えばワッペンの色補正は調整レイヤーで行っているので後から再調整が容易だ。キャンセルもできる。ソフト処理も同様だ。レイヤ表示を非表示にすればいつでもオリジナルのデータと見比べることもできる。

以上からCameraRAWでは、ホワイトバランス、色かぶり、シャープネスやノイズ除去メインに現像を行い、その後の作業はPhotoshopで行うのが望ましいと思っている。