2026年3月29日日曜日

模型の収納箱

 イベントなどで展示する模型は数年使うことが考えられるので模型そのものの堅牢性も重要ながら輸送保管用の収納箱も丈夫な必要がある。また、輸送中の振動や誤ってぶつけたり落としたりすることも考慮し、衝撃を吸収するクッション材も必要だ。

最近作っていた模型3種類のうち、1つは壊れてしまった模型の修理だった。残念ながらどこかで落としてかなりの衝撃が加わったようで模型が台座から外れて一部のパーツが割れてしまっていた。当初の模型箱は電車での移動も可能なように箱をなるべく小さくするため、クッション材が十分ではなかった。もちろん輸送の振動で壊れないようにはしてあったが、落下しても大丈夫とは言えなかった。今回やはり不可抗力で落としてしまうこともあるということを考慮して箱をひとまわり大きくして発泡ウレタンを厚く全面に敷き、大きな衝撃にも耐えられるように箱の改良を行った。

作り替えた収納箱


私の作る模型の収納箱はダンボール製である。厚さが1.5センチあるダンボール板を業者に注文し、この板を加工して箱を作っている。このダンボールはとても強く頑丈な箱を作ることができるのだが、その分加工は大変で、模型用の箱づくりはだいたい丸2日から3日かかる。材料も高価で3’×6’(180センチ×90センチ)で1枚7千円ほどである。これを箱の大きさにもよるが通常2枚は使う。

模型箱用のダンボール

箱の中に入れるクッション材は発泡ウレタンで1枚1万円強、1つの箱にほぼ1枚使う。収納箱の製作にはこのほか、箱のベルトや金具、フタのかみ合わせ用のベニヤ板、注意書き用のシール、保護フィルム、組立用の接着剤などが必要で、材料費の合計は3万円くらいだろうか。接着剤なんて微々たるものと思ったら大間違いで木工用ボンド180g入りを丸2本は使う。

かと言って労務費と材料費を合わせて請求なんてできないので模型のオマケとして作ることにしている。

以前、箱だけどうしても作ってくれないか、という依頼があり3万5千で受けたことがあるが全く商売にはならなかった。

ではもうちょっと手間や材料のかからない箱にすればよいものだが、そこはこだわりがあって妥協はしたくないのである。

商売なので利益の出ないことにこだわるのはダメなことは分かっている。だがこだわって作った模型をテキトーな箱には入れたくないのだ。まあもう少し合理化する方法は考えた方が良いのかもしれないが、模型そのものの受注が少ないので、今はこれでいいと思っている。

さて、そんな収納箱だが、製作するときはまず図面を描く。模型サイズ+クッション材で箱の外形が決まる。仮に模型が一辺40センチのキューブだとすると、模型は通常台(ベース)に乗っている。このベースが模型より少し大きいのでベースのサイズを考慮し、これにクッション材とダンボールの厚みを加えると、箱の外形はだいたい一辺60センチとなる。つまり元の模型の2回りくらい大きい箱になると言うことである。

箱の図面

模型サイズはまちまちなので毎回上記を加味した箱を設計するのだが、各面の大きさが決まったらダンボールの繊維方向(強軸-弱軸)も考慮し板取り検討も行う。

次に図面に沿ってカットするのだが、重要なのがダンボールの貼り合わせ部と小口の処理で、じつはここが最も手間がかかる作業なのである。ダンボールを単純に直角に貼り合わせてもコーナーの強度が出ないので特別な処理をしている。

板取り図に沿ってカットしたダンボール板


カットしたダンボール板に加工のマーキングをする



心材も取り除き表目のクラフト紙のみ残す



この表面材を接着する別のダンボール板に巻き込みながら箱を接着することで強度のある箱になるのである。

クランプなので押さえながら接着して箱にする



この接着に木工用ボンドを大量に使う。ボンドの多くはダンボールの波板のすき間に入り込むのでかなりたっぷり付ける必要があるためだ。180g入った木工用ボンドがあっという間に空になるのはそのためだ。

だがこうして苦労して作った箱は丈夫さは折り紙付きで、人が上に座っても大丈夫なほど頑丈になる。中に入れた50ミリ厚のスポンジと合わせてこれなら模型が輸送時に壊れる心配もまずない。
完成した箱にベルトを付け、注意書きを貼り、小さな箱の場合輸送用のバッグを作り、大きい場合は箱に持ち手を付けて完成となる。

完成



この模型もクライアントへ提出が終わり、模型の仕事はすべて完了となった。だが新規の仕事がいくつか入ってきたので、のんびりお休みはおしまい。





2026年3月26日木曜日

信用できない脳の働き

 3月末になり今年度の仕事もほとんど片付き、今や黒板には5件のみとなっている。

仕事の進捗管理の黒板

しかも全てが待ちの状態なので、つまり今日現在仕事がないのである。自営業としては本来ヒマほど恐ろしいものはないのであるが、今まで忙しすぎたのと年度末のこの時期は元々仕事が少ない時期なので、恐ろしい、といった感じはなく、今までできなかったことを順に片付けていこうと楽観的になっている。それでも正直に言うと心の隅に「このまま仕事が無くなったら・・」と少しチクチクするものを感じなくも無いのだがそれはまあ仕方がない。

さて、今までできなかったことを始める前に、今月いっぱいはのんびりすることにした。何もしないで映画を観たり音楽を聴いたり家族と散歩に出たり、と。旅行に出かけるという選択肢もあるが年度末なので事務手続きの対応を早急にする必要が出てくる可能性も高いのと、去年の11月に旅行に出かけて旅行積立金が底をついているのでなしだ。なのでひたすらのんびりである。

と言うわけで今日は日頃考えていることを少しだけ書いてみようと思う。それは「自身の脳は信用できない」ということで、正確に言うと「完全に信用してはいけない」ということだ。

今日は脳の働きについて考えている。

生物としての人は生存のため次のように考える傾向がある。

1. 複雑に見える事物はシンプルな要素の集合でできている、だからそれぞれの要素にしっかり取り組めば決して困難ではなく、正しい選択、正しい理解、正しい回答にむすびつく。また1つの物でも特長や性質などを単純化し、その集合体としてとらえることで理解を深めることができる。

こういう独立した要素の複合で形成する考えを近代的手法というが、つまり近代になってから導入された手法で、技術の大幅な進歩の元となった考え方である。


2. 人は経験と思考によって、正しい判断をすることができ、またそれでも間違った判断や解釈をしてしまった時も方向修正することができ、そしてそれも経験として自己の中に蓄積される。

1、2とも一見もっともなようだが、これが大間違いなのである。いやこれも正確には、必ずしもそうとは限らないことがある、と言った方がよいだろう。

1つめの単純化、たしかにどんなに複雑な機械も単機能の部品の集合でできていて、これを理解しようとしたら各要素に分解し、それぞれがどのように働き、そして全体が作り上げられているかを理解することができるし、作るときだって同じだ。それは間違いない。だがその理屈を本来それが当てはまらないような事象にも強引に結びつける傾向があるのが問題なのである。当てはまらない事象は非常に多い。そしてこのブログでも以前書いたが脳は複雑な物事を複雑なまま理解しようとはしないで、極力単純にしようとする。従って脳はささやく「単純化こそが真実への道だよ」と。そして脳はそれを常に全てのケースに当てはめ何でも単純化するようになるのである。

2つ目の判断や理解についてはもう少したちが悪い。分かりやすい例で言うと必要な正しい情報をインプットされれば正しい判断ができる、そしてそれが万一間違っていたときもすぐに方向修正できる、と本気で信じることである。これの問題点は後述するが、こうして文章化するとなんとなくダメそうな気がすると思わないだろうか。

さて、この2つを組み合わせると、正しい情報がインプットされ、それを単純化し演算し、自身のデータベースと照合し、その結果を何らかの形で正しいものとしてアウトプットする。という「理想図式」ができあがる。

1つめの単純化の問題点は前述のように、単純化することで変わってしまうものやそもそも単純化などできないものも世の中には数多く存在するがこれらをどう扱うかはあまりきちんと議論されないということ。

2つめの問題点は始めに与えられる情報は「確実に正しい物がヒエラルキー順に並んでやってくるわけでは無い」そしてそもそも「正しいかどうかの判断」も「ヒエラルキーに沿った並べ替え」もほとんど不可能なことが多々あるということ、また、演算装置つまり脳も多くの誤差を含んでいる。そしてさらにやっかいなのが「脳は一度下した判断をなかなか変えようとしない」ということだ。この判断を変えないという性格は脳の身勝手な性格を最も明確に表すものと言える。つまり「そうじゃないかと思っていた」とか自身では「一貫して変わっていないつもりでも明らかに考えが変わっている」ことがあったり、「判断を間違えたのは私のせいではない」といった風に。これは困ったことに本人は本気でそう思うことが多く、たとえば「本当にはじめからそうだと思っていた」と信じるようになるのである。

この「途中で変わったことにもかかわらず、初めからそうだと思い込む」というのは非常に身勝手なことだが、「そんなこと私は絶対にない」という人ほど怪しい。脳はそのように作用するものなのだ。だからタイトル通り「信用できない」と疑ってかかった方がよいのである。

脳は常に「安定したい」と無意識に思っている。そして「安定した状態」こそが最も大切であり。事実をありのまま受け止めてストレスを感じるより、なんとか「安定」した状態にしようとあの手この手なのである。したがって往々にして事実より「こうだったらより安定する」というものを事実に置換え「採用」する。結果、「はじめからそうだと思っていた」というふうになるのである。

これは他人を批判しているのではなく、私自身が陥ってしまう可能性が高く、だから常にその可能性を警戒しながら何事も考えることが重要だと言っているのである。このブログは全ての記事を上から目線で偉そうに書くために始めたものではない。自身で何十回もいやもっと多く読み返すという目的ために始めた部分が大きい。つまり自分に対して「お前はどうなのか」というブログなのである。一時期写真教室みたいなのも書いてみたが、基本は自身の読み返しのためなのである。だがコソコソと書くのもイヤなので公開はしているが閲覧数やいいねとは無関係なのである。

ある時点で「こうだ」と思ったことを、のちに言い訳できないようにストレートに言語化し、それがその後「ブレないもの」と、「これは違ったなというもの」、を自身ではっきり評価する、評価できることに最も意義があると考えている。

つまり、考えを言語化する過程でイメージのみだったことも明確に文章にでき、しかもそれをしっかり残すことができる、ということが最も大切なことなのである。

そうして作成した文章は「オーディエンス受け」を狙った当たり障りのない文章とはならないのである。そして後に違ったと判明したときは、何をミスしたのか、自分のどういうところがミスを招いたのかを考えることが辛くもあるが楽しみでもあるのだ。

この自身を客体化しながら眺める、というのは私にとって最も重要なポリシーのひとつなのである。






2026年3月13日金曜日

模型製作環境を良くしたい

今日は以前担当した仕事の食事会に呼ばれて日比谷まで出かけた。本来、私はイメージ制作の一外注業者なのでこういった会に呼んでいただくことはなく、今回もご招待いただいたが、お礼を言って辞退させて頂こうと思ったのだが、主催の方から是非にということで出席することになった。ありがたいことである。料理はビュッフェであまり多くなく立席だったがかえって出席された人たちといろいろ話ができてよかった。あまりおなかも空いていなかったので乾杯のあとウーロン茶を飲み料理には手をつけなかった。家に帰ってから何か作って食べればいいかな、と思ったからだ。7時半に散会となり地下鉄でのんびり帰る。さて夕食何にしようかな、と考えながら。さすがに少しおなかも空いた。あまり手間のかかる料理は遅くなってしまうので、手っ取り早くぱっぱっと作れるものがいい。家の近くのスーパーマーケットに寄って、いい肉があったらステーキとパスタ、そうでなかったらきつねうどんかな、とそんなことを考えながらウトウトしながら帰る。

ステーキとペペロンチーノ

幸い良い肉があったので予定通りステーキとスパゲッティの夕食となった。ステーキはあまり焼きすぎない方が良いとされているが私は生っぽいのが苦手なので、厚めの肉、3センチくらいの国産牛肉を表面をこんがり焼いて食べるのが好きである。厚みがないと中まで火が通り過ぎてしまうので3センチくらいがいい。いろいろ同時に作ったので料理にかかった時間は15分くらい。人参は電子レンジで火を通し手鍋でパッパッとバターソテーに、同時にお湯を沸かしパスタを茹でる。隣でオリーブオイルに唐辛子とニンニク、そこにベーコンとマッシュルームを加える。そしてその横でステーキを焼く。この程度なら全部同時でも問題ない。ワインでも飲みたいところだが仕事があるのでウーロン茶である。


さて、残っていた最後の模型の納品も終わり、あとはカタログ等の今年度分の仕事の仕上げがいくつか残っているが、それらが終わればひと段落である。3月いっぱいは身動きが取れないが4月になれば時間ができるだろう。

そこで電車に乗っている時やちょっとした待ち時間に製作環境のリノベーションのアイデアを考えている。このブログも地下鉄で書いている。つまり後半を先に書いて前半は帰りの電車と寝る前ということである。

さて、まずは工房である。今後どのくらい模型の仕事が来るかはわからないが、今後の模型製作を効率的に、また快適に行うことができるよう大改造に着手する。おそらく3ヶ月くらいかかるだろう。大きな作業机と工具や材料の十分な収納スペースがほしい。

次に図書室、本棚は完成してよくなったのだが、写真撮影室としてはまだまだ改良の余地が多くある。特に撮影時の照明の設置が問題で、これは1から考え直そうと思っている。

最後に書斎、ここも思うことは多くあるがそれほど急を要してはいないので、まずは工房と図書室を片付けてからゆっくり考えれば良いだろう。

で、工房だが一部壁を撤去し広く使えるように改良する。中央に作業台(机)。ここにソーテーブルを内蔵させる。ソーテーブルは使わない時は天板でフタをする。使う時にその部分の天板を外し、外した天板をカットする材料の延長テーブルとして使う。

課題その1、ソーテーブルを天板のレベルまで上げ下げする機構。上げ下げ幅はキックバック防止用のブレードを含めても10センチ程度だが手で持ち上げるようなことはしたくない。手がかりも付けなくてはならないし無理な姿勢で重い機械を持ち上げるのはよくない。さてどうするか。またソーテーブル用のガイドレールの収まりなどなど、時間があるときに少しずつ考えれば良いだろう。

課題その2、今回模型製作用にどうしても導入したい機械がある。レーザー加工機である。これは使う時ちょいと出して、といった置き方はできない。設置場所を決めて固定となる。また加工の際発生するガスの排気も必要なのでどうしても閉じたブースが必要だ。

課題その3、改修に伴い処分する物が結構たくさんある。これらを早めに処分する必要がある。