2021年4月18日日曜日

シグマDP2メリルでの風景写真

 前回シグマDP2メリルでのポートレート撮影やRAW現像の辛さについて長々と書いたが、もともとこのカメラはポートレート用ではない。別にシグマがダメですと言っているわけではないがユーザーの間では常識だった。

なのでポートレート撮影で不満を並べておしまい、というのも失礼なので今日はこのカメラでの風景写真について書こう。

だが、本来カメラに「風景用」とか「ポートレート用」などという区別はあってはならないと思っている。もちろん特殊用途カメラというのはあるだろう。だが民生用のコンパクトカメラにはそういった偏りはあってはならないはずだ。

昔、オーディオにも似たような現象があったのを思い出す。無責任なオーディオ評論家がイギリス製タンノイをクラシック向き、アメリカ製JBLをジャズ向けとかやって、団塊の世代のマニアがみんな揃って同じようなことを言っていた。
まあ気持ちは多少わかるが、そんな話に便乗して通ぶっている連中は間抜けに見えた。

だから、このカメラにも団塊世代ジュニアたちが「風景向き」と言い出したときにも同じような抵抗感があった。
だが前回書いたようにこのカメラは確かにポートレートには辛い。ここは素直に団塊世代ジュニア君たちに負けを認めよう。

で、風景。


In front of the blue_Hyatt Regency Waikiki
Sigma DP2m f5.6 SS1/640sec ISO100





どうと言うことのない写真だが、驚くべきは解像度だ。
赤い印をつけた部分を等倍で見ると





ここまでしっかり写っている。
もちろん現像やPhotoshopでシャープネスをかけたりしていない。

ホワイトバランス調整なども晴天の屋外であれば当然問題ない。遅い遅いSigma Photo Proも何度も使わずにすむ。最後にPhotoshopで微調整。

次に日陰。


In front of the green_Karuizawa

Sigma DP2m ND64 f2.8 SS6sec ISO100


NDフィルターでスローシャッター

ここでも撮影、現像ともほぼ問題はない。NDも64までなら撮影に問題はなかった。ちなみにND400はさすがに厳しいが。

もうひとつ、ついでに言うとPLはまともには使えない。なにしろ背面モニターでは微妙なPLの効きは確認できない。水面やガラスの反射がかろうじてわかる程度だ。なので露出計頼りに調整するしかないのだが、露出計の反応が遅いのですごくイライラする。また風景に強いはずが、なぜかケーブルレリーズが使えない。ISO感度が上げられないこのカメラは三脚を使う機会が非常に多い。ケーブルレリーズが使えない仕様は全く理解できなかった。機械式ケーブルレリーズならシャッターボタンの改造で原価200円増くらいだろうに。

なのでこのカメラ、そういう風景写真のこだわった撮り方はにも向かないのか。
なんだぁ、それじゃいいことないの?、となってしまったが、くどいようだがこのカメラ、すべての試練に耐え、例えばレリーズは自作して付け、三脚を立てて光を待てば、すごくいい絵を結ぶことがあるのだ。だから楽しいのだ。うまくいった写真を丁寧に現像しプリントするという至福の喜びはこのカメラではひときわ大きい。だからオールマイティなカメラを欲しい人には決して勧められないが、かと言って私自身は手放すことなんて全く考えられないカメラ、それがこのDP2メリルだった。

実はこのDP2mを買うとき、最後まで悩んだのがこれにするかリコーGRにするかだった。GRの方がストレスがないことはわかっていた。だがDP2mの渋い絵も捨てがたい。決め手はレンズだった。GRは広角28ミリ相当、対するDP2mは45ミリ相当だった。風景写真やスナップでは28ミリの方が扱いやすい。

ファインダーを覗いたときの画像の大きさが実際に肉眼で見える大きさと同じなのが50ミリだが、人間の視野角は50ミリレンズよりかなり広い。人間工学的には人間の視野角は180°近くある。だが例えば正面0°を見ているとき90°右や左はなんとなく見えているだけだ。見え方は注視点でははっきり結像し確度が大きくなるにつれてはっきりしなくなる。だが、人は眼球を動かしてある程度の範囲を像として脳内で1枚の画像として確認している。
その範囲つまり広さは、注視対象(写真で言う被写体)によっても変わるし、その時の意識によっても大きく変わる。
なんとなく見ているときは見えている範囲が広く、一点を注視しているときは当然狭くなる。
だが、風景などを眺めているときにひとかたまりの映像として意識している画角は90°〜60°で、これをレンズの焦点距離す換算すると18ミリ〜30ミリとなる。
つまり28ミリというのは見えている景色がなんとなくすっぽりと入ってしまう画角なのだ。

つまり楽ちんなのだ。

それはそれで決して悪いことではないのだが、おもしろくない。

だれが撮っても多少の差はあれ同じような写真になる。

だから切り抜く範囲を撮り手に意識させる45ミリに魅力を感じた。画角にして45°〜30°、見えているものの半分を捨てる画角と言ってもよいだろう。捨てる半分と生かす半分、それがこの画角帯だ。それ以上の望遠になると目的がはっきりし明快になる。捨てるも生かすもない、「ここを写す」だ。
そんな訳で選んだこのDP2メリル。


Santa Maria del Mar, Barcelona

Sigma DP2m f2.8 SS1/60sec ISO400


 


Chemical plant, Kanagawa pref.

Sigma DP2m f5.6 SS4sec ISO100



 

Heavy Metal Tokyo Gate Bridge

Sigma DP2m ND64 f8.0 SS6sec ISO100



 

Karuizawa

Sigma DP2m ND64 f8 SS13sec ISO100


 


ちなみに昔、フィルムカメラ全盛の時、50ミリを標準レンズと呼んだのは別の理由だ。

記念写真に人と風景を入れてちょうどいいのがこの画角だからだった。ファインダー像が実際の大きさと同じに見えるという建前だったが。

 

DP2mで記念写真を撮る人はまずいないだろうけど。
 


自作のボディケースと機械式レリーズ金具。


最後に私の改造について。本体には全く手を加えずに、レリーズを取り付けた。

レリーズ金具はプラスチックを加工し、ホットシューに差し込みストラップ金具に引っかけて固定するようにして取り付けた。ヒンジ部分でくるっと回して向こう側にすれば、指で普通にシャッターも切れる。

ボディケースは市販品はあまり良いのがなかったので自分で作った。グリップ兼用の予備バッテリー入れを付けてみた。

このカメラの電池消耗が激しいのはユーザーの間では有名だ。ちょこっとした散歩撮影でも予備電池を持って行く必要があり、旅行の時は5個くらい持って行かないと安心できなかった。