先日ポップアートと称して、写真のポップアート風作例を紹介した。その時アンディ・ウォーホールについてふれたが、ウォーホールは、キャンベルやモンローなどのポップアートの作品の他、ベルベットアンダーグラウンドのデビューアルバムのプロデュースも行っている。
有名な1967年の「The Velvet Underground & Nico」バナナアルバムである。
このレコードアルバムはウォーホールのポップアート作品の中でも特に有名なものの1つでセンスがいい。
50年前のデザインだが全く古さを感じさせない。
バナナの上の方に小さな文字で「ここからはがしてね」と書いてあり、バナナ部分がシールになっていて、皮をむくことができるという趣向が憎い。当然ながらCDの方はそんな風にはなっていない。ごく普通のプラケースCDと同じ、紙にバナナが印刷してあるだけだ。悲しいことに「ここからはがしてね」の文字だけは入っている。レコードとは正に雲泥の差だ。
さてこのアルバム、タイトルにある「ニコ」はファッションモデルで、ウォーホールが連れてきてこのアルバムでは3曲歌っている。
背が高くてすごくカッコイイ女の子だ。身長178センチだったらしい。
ニコはベルベットアンダーグラウンドに参加する前は映画にも出ている。フェリーニの1960年の映画「甘い生活」だ。「ニコ」という名で出ている。しかも端役ではない。マストロヤンニより背が高かったのでこのシーン、マストロヤンニは下駄でも履いたのかな。
また、ジャズのビル・エヴァンスの1962年のレコード、「Moon Beams」のジャケット写真の女性、なんとこれもニコだ。
だが、「甘い生活」のニコは冴えない、演技も素人だ。このレコードジャケットもどうだろう今ひとつと感じるのは私だけだろうか? さらにベルベットのアルバムでの歌手ニコも歌はあまり良くない。
しかしこのアルバムのジャケットの見開きページにあるニコの写真はすごくカッコイイ。下の写真、ジョン ケイルと一緒に写っている。
ちなみにウォーホールもタンバリンを持って写っている(写真左下)、若い。
そう、なんとも不思議だ。映画ではイマイチ、歌もねぇ。でもこの人気。こうなるともう完全にノックダウンだ。気になって気になってしかたがない。想像力が駆け回る。
「ニコ」をウォーホールに紹介したのがボブ・ディランだったらしい。
その前、1962年には俳優のアランドロンとの間に男の子を出産している。
ベルベットとはファーストアルバム発表と前後して行われた何度かのライブで、他のメンバーとだんだんうまくいかなくなり、結局ファーストアルバムのみでおしまいになってしまった。だがそれはベルベットにとっては良かったことかもしれない。
彼らのサードアルバムを聴けばわかる。
商業的に成功したのはデビューアルバムだが、音楽的にはなんと言ってもこのサードアルバムだ。
アルバム名は「The Velvet Underground」
サードアルバムでバンド名、である。
だがこのアルバムにニコは当然、アンディ・ウォーホールの名もない。アルバムジャケットもこの有様だ。
それはロックバンドにはごく普通のことであり、別段悪くいうところでもない。音楽的に良いのだから全く問題ない。
だがファーストアルバムのビジュアルと比べるとどうだろう。ウォーホールが並外れたセンスの持ち主だったとは言えるだろう。
ウォーホールは1987年の彼の死によって、モンローやキャンベルなどのリトも値段が沸騰し、とても買えなくなってしまった。
複製画なら数万円で手に入るが、シリアルの入ったオリジナルは1000万円以上だ。
だがリトの複製画というのも悲しい限りだ。カッサンドルやミュッシャならまあ仕方がないが。
そこで、このベルベットのファーストアルバム、
このレコードアルバムは今でも入手可能だ。
そしてこれこそ正に、あなたにも手に入るウォーホール作品と言えよう。
どうだろう一家に一枚ウォーホール。今ならタワレコで3000円だ。
さて、ウォーホール作品と言えば、もう一つ私は所有している。
これだ。
キャンベルトマトスープの缶だ。元町のスーパーUNIONで300円くらいで手に入る。
決してふざけているわけではない。ウォーホール作品で最も有名なキャンベルトマトスープのリトだが、こと日本においては本物のスープより、ウォーホール作品の方が有名だ。
このスープを飲んだことがある人より、ウォーホールの作品を知っている人の方が多いという意味だ。ちなみにものすごく不味い。
だからこれくらい有名なアートになると、逆説的にアートのモチーフとなった本物の缶詰を飾ることが、十分アート体験となりうるのである。
我が家では缶をひっくり返してホールソーで丁寧に孔を開け、中身を全部捨てて良く洗い、飾ってある。娘のお気に入りで勉強机の棚に飾ってある。
キャンベルもその辺の事情はよく心得ている。
この缶だけは何が何でもデザインを変えることはないだろう。

