2023年12月5日火曜日

モモコドールの写真撮影

 

Fuji FinePix Z1000、f/4.9 1/60s ISO250、トリミングなし


価格ドットコムを久しぶりに見ているとなんとなく懐かしくなって、昔撮った写真をアップしてみた。お人形(ブライス)の写真

人形の写真はライティングにじっくり時間をかけることができるので、リアルなポートレートとはまた違った意味でおもしろい。

それで今日は商品撮影、と言っても今作っている技術資料に載せる簡単なカットなのだが、クライアントから預かっているパーツの写真を撮ったので、そのついでに人形も数枚撮ってみた。撮影室は図書室と兼ねていて現在改装中で、照明などは不完全だが仕方がない。

久しぶりに箱から出すと人形は髪の毛や服やサンダルなどがボロボロになっているものも多く、ショック。

さらに今は仕事が結構忙しく、明日と明後日合わせて4件の打合せがあり、主役は私なのでプレゼンの資料をまとめないとならない。ここ数日睡眠時間を削って仕事をしている。そんな訳でお人形の写真を撮ると言っても、かけられる時間はせいぜい15分くらい。

人形をいくつか箱から出して傷みの少ないを選んで支えの針金を曲げて立たせたらもう10分も経っていて、撮影は5分しかない。つまりじっくり照明を・・・なんて時間はない。やれやれ。

撮影には古いフジのコンパクトデジカメを使ってみた。昨日カミさんから「こんなの出てきた」と渡されたデジカメ。10年くらい前にカミさんに買ってあげたカメラ。バッテリーを充電したらまだ使えた。画質は期待できないがなんとなくおもしろいのでこれで撮影することにした。




デザインはよいけどね。

(昔の私のレビューには食パンに海苔の佃煮なんて書いてある、辛口だね)

テストで撮影した画像をMacで開くと、うーん。まあ使えないこともないが、i-phoneのカメラの方がマシかな、これなら。

で、そのお人形の撮影だが、細部まで解像したきちんとした写真より、ゆるい感じのほうが良さそうな気がしたのでこのカメラにしたのだが、こういうのもありかな、と思う。

まず時間がかけられないからお人形の髪の毛はボサボサのまま、当然服を修理する時間もない。あげく針金を曲げてササッと作ったスタンドは見え見えになっている。照明も工事中なので暫定で設置、ディフューザーも付かない。ならばゆるいカメラで・・・と、そういうこと。


お人形さんをお人形さんぽく撮ってみよう、そして被写体もカメラも照明もゆるゆる。ではどこにこだわるのか。つまり何ができるのか。10年前に新品で7千円のカメラである。こんなもので何もできるはずがない、というのは簡単。でもちゃんとできることがある。しかも5分で。

これ、あとで2Lでプリントして飾っておこう。さすがに大きなサイズのプリントはつらいけどね。

と言うことでさっそくプリント。明日の打合せ資料のプリントの合間にこれもプリント。うーん色が合わない。データとプリントの設定をあれこれと。5枚目でようやく合格点。うーん。

これが最終的なプリント画像


どうもおかしいのはこの画像はずいぶん暖色系に転んでいる。上の少し寒色系の方が狙いだったのだが、プリントすると辛気くさい。どうも画像ではなくプリントの設定に問題があるように思う。今度きちんと設定を1からやり直そうと思う。こういう設定、いくつか連続してやっているとスムーズなのだが、たまにするとどうもうまくいかない。今日は仕事の合間で集中できなかったなんて言い訳は御法度、まだまだ修行が足りないということか。




最後に私の照明の決め方について。

まずは天井灯を消し、撮影用の主照明1灯だけ点灯しその位置を決める、だいたいでよい。主照明はそれがもっとも明るく被写体を照らす照明なので、位置決めは悩む必要はない。画角と被写体の向きでほぼ自動的に決まる。左を向いている人形に右から当てるなんてバカなことはやらない。次にファインダーを覗きながら2灯目を決める。1灯目が右からなら2灯目は反対の左からにする。ただし2灯目は副照明なので、1灯目より暗くなるように照度を落とすか距離を離す。主照明と同じような明るさにすると被写体の左右が同じ明るさになり、立体感に乏しい薄っぺらい写真になってしまう。また被写体が人形でも静物でも光がほとんど当たらない真っ黒い部分は作らないようにする。意識してレンブラントライトで、という時もあるが、それは例外的で、その場合にも影は残ってしまってできるのではなく、意図した場所に残す、つまり影を作るという考えで設定する。


Sigma DP2m f2.8 1/60 ISO400



DP2mで撮影したこの写真は撮影時からシャドーを前提にライティングを行った。左を向いているモデルに右から照明を当てるなんてバカなことの例。こういう風にする、という明快な目的があって可能になる。

またこれはDP2m限定だが、フォビオンはあとから現像時に露出の持ち上げは一気にノイズが増えて辛いので、そのことを考慮して露出を決める必要がある。つまりアンダーで撮りたい写真でも露出補正で暗く撮らず、適正露出で撮影し、現像時に必要なだけアンダーに持って行った方がよい場合が多い。

さて、1灯目と2灯目で足りることもあれば足りないこともある。足りないことの方が多い。なるべく灯数は増やしたくないが3灯目を追加する。3灯目は1灯目または2灯目の角度が微妙で部分的に光が足りないところに補足するために置くことが多い。なので2灯目の補足であれば先行する2灯目と併せて明るさを調整する。いい感じになったらさらにあと2灯でハイライトとバックグラウンドを追加調整する。ただしハイライトやバックグラウンドは無しの場合もある。

ハイライトというのは、弱めの光で被写体の一部を明るくする、つまり意図的にテカっている部分をつくること。上の人形の写真では手間のお人形の髪の毛にハイライトを当てている。バックグラウンドは背景となる壁などが暗くなりすぎないように原則被写体には光があまり当たらないように背景だけに光を当てること。だから黒い背景の時は必要ないし、被写体用の照明でいい感じになっているのなら同じく不要となる。ただし面倒だからいいや、と手を抜くと背景のみならず被写体も台無しになこともある。つまり場合にもよるが結構大切。

全体感が決まったら微調整をする。影の落ち方や不要なテカリの除去など。また天井灯はほぼ100%使わないがディフーザーを付けた面ライトを足すこともある。どうにせよあれこれ照明を一度にやみくもにいじるのではなく、1つずつ決めていき最後に微調整するほうがよい。

このやみくもにあれこれやっていい感じになったら、というのは諸悪の根源だと思っている。たまたま上手くいっても再現性がないのでスキルはまったく上達しない。これは照明に限らず例えば写真なら、撮影や現像、後加工すべてにおいて言える。

また撮影の際、カメラは手持ちの時もあるが、照明の手持ちはまずやらない。灯数も多いし、仮に1灯であっても手持ちで何とかなるほど照明はお気楽ではない。

もう10年以上前、弟子君に言ったことがある。カメラは写真の父、照明は写真の母。立派すぎるお父さんの子供はたいていダメだが、素敵なお母さんの娘はほぼまちがいなくいい。

まあ今日の撮影は時間がなかったので何もできずに、仕事の撮影の設定のまま、微調整と手前の人形の髪にハイライトを加えておしまい。このハイライトがないと絵が死んでしまうので。