2024年5月17日金曜日

マルチアンプ、チャンネルデバイダーの調整

今日は朝から打合せ、超満員の地下鉄でクライアントのオフィスへ向かう。やれやれ。まあ仕方がない。コロナが契機で働き方の多様性が進んだと思っていたが結局ほとんど元に戻ってしまったのだろう。これは私見だが、報告だけの会議でもっともらしいことを言って仕事をしたつもりになる人や、何となく家に居にくい人が一定数いると、オフィスにいることが重要になり、もうどうしようもないのである。元に戻るのである。私も以前働いていた会社ではほぼ会議のすべてが報告を主としたものだったのを思い出す。

さて、気分を変えて。久しぶりにじっくりレコードを聴いた。仕事は忙しいがこういう時間も大切である。古いジャズ、ブルーノート。カートリッジはデンオンの方。うちにはレコードプレーヤーが2台あり、1台はデンオンのMC、もう1台にはオルトフォンのMCが付けてある。レコードプレーヤーが2台なのでフォノイコも2つある。

デンオンはケンブリッジのフォノイコ、音の傾向は比較的力強く、MCだがMMに近い音。

オルトフォンは昇圧トランス経由でロクサンのフォノイコ。低電圧MCの繊細な音。

なんとなく古いレコードはデンオン、新しいのはオルトフォンで聴くことが多い。だから今日はデンオンにした。コルトレーンとハンク・モブレー。

先日故障で交換したチャンネルデバイダーの微調整はまだだが、聴いていて不自然さはないのでまあいいだろう。チャンネルデバイダーとは別名クロスオーバーネットワークともいうが、スピーカーの低音、中音、高音を分けるための装置である。通常スピーカーの箱の中に入っているが、マルチアンプではアンプの手前で分けアンプを複数台使う。ちなみに全帯域を1つのユニットで受け持つフルレンジスピーカーには当然クロスオーバーは不要である。分ける必要がないからである。スピーカーの箱の中に入っているものはクロスオーバーネットワークと呼ぶが、アンプの手前で分ける機器は同じ名前では都合がよくないのでチャンネルデバイダーと呼ぶことが多いようだ。

ウチのスピーカーは3ウェイのマルチアンプである。チャンネルデバイダーのクロスオーバー周波数はLow-Midが1.4kHz、Mid-Highが9kHzに設定してある。それぞれのユニットの周波数特性はウーファーは30センチコーンでf0(25Hz)〜3.5kHz、ミッドレンジはドライバー+木製ホーンで800Hz〜20KHz、ツィーターはホーンで5kHz〜35kHzである。つまりクロスオーバー周波数はLow-Midは800Hz〜3.5kHzの間、Mid-Highは5kHz〜20KHzの間で決めることになる。

ただしたとえウーファーの上が3.5kHzまでとしても3.5kHzギリギリまで引っ張るのは良くない。せいぜい2.5kHz、理想は1オクターブ余裕を見て1.8kHz程度にした方がよい。MidやHighの下側はさらに安全を見た方がよい。これには2つ理由がある。1つはクロスオーバー周波数が仮に10kHzとしたら、つまりツィーターで言えばの再生下限は10kHzということだが、10kHzでバッサリ低音側をカットするのではなく、10kHzから徐々にゲインを下げていって1オクターブ下がったところ、つまり5kHzで元の音圧の6dB減衰や12dB減衰や24dB減衰ということなので、少し余裕を見てカットした方が良い、というのと、もう一つはユニットの得意な部分を使ったほうがよいという理由だ。食べられるけどあんまりおいしくない部分は使わずにおいしいところだけ使って料理しましょう、ということだ。ちなみにチャンネルデバイダーの標準的な減衰率は24dBである。うちのもそうである。6dBが1/2なので24dB減衰ということは、1オクターブ下がれば1/16になるということである。つまりゼロにはならない。

特にホーンは下側をギリギリまで使うと明らかに音が悪くなる。いわゆるホーン臭さが出る。ということで我が家のステレオに当てはめればクロスオーバー周波数はLow-Midは1.5kHz〜1.6kHz、Mid-Highは10kHzあたりが目安となる。あとは音楽を聴きながら調整すればよい。最後は耳が頼りである。

クロスオーバー周波数が決まればあとはゲイン調整だけである。ゲイン調整はウーファー、ミッドレンジ、ツィーターの音の大きさを揃えることである。基本的にはクロスオーバー周波数のサイン波を再生して各ユニットの音の大きさを揃えればよい。耳で聞きながらでもできるが単純に音の大きさなのでマイクで拾ってテープレコーダーなどのVUメーターでチェックすれば正確に合わせられる。

ちなみにアンプは3台とも同じものなので、単純にはスピーカーユニットの能率でゲイン調整はほぼ決まる。ホーンドライバーやホーンツィーターは能率が高く、コーンスピーカーは能率が低い。最近流行の小型スピーカーでウーファーが20センチ以下のものなどはスピーカーのコーン紙を重くしてf0を稼いでさらに製造コストを下げる方針なので能率はかなり低い。だが昔と違って安いデジタルアンプでも100Wくらい出るので仮にスピーカーの能率が80dBでも音量的には問題ない。だが私の経験では能率の悪いスピーカーは音はあまり良くない。これは一概には言えないが能率が良い(高い)スピーカーと悪い(低い)スピーカーではアンプで同じ音を出してもスピーカーから出てくる音の大きさはずいぶん違う。能率95dBのウチのウーファーと最近多い背の高いタイプのスピーカーのウーファーはだいたい85dB以下で10dBくらい違うが音の大きさは3倍も違う。だが歪みも3倍違うかといえばそうでもないように感じる。つまり能率が1/3になっても歪みは1/3にはなっていない。ここで注意点だが歪みというのは広義では雑音の類だが、アンプなどのザーとかサーとかいうノイズとは異なり、音楽の奇数倍音を主とすることが多い。つまり普通に聴いていると歪みには気が付かないことも多い。簡単にわかる方法がある。少しボリュームをあげる。すると音が大きくなった以上にウルサイと感じるのが歪みの多いスピーカーの特徴だ。わかりにくいように聞こえるかもしれないがかなり違いがはっきり出る。

さて、我が家のスピーカーは低音は30センチコーンで95dB、中音、高音は105dBくらいである。ウーファーの95dBは決して悪くはないが、高効率のホーンやドライバーに比べるとあきらかに能率が悪い。その昔30センチや38センチを2コなんてスピーカーがあったが、あれは2つにして能率を上げ、ミッドやハイのホーンに合わせるためだった。

さて、ということで私はどうやっているかと言えば、中音と高音はパワーアンプのアッテネーターでマイナス8dB調整し、残りをチャンネルデバイダーのゲイン調整つまみで微調整している。非力な真空管アンプでアッテネーターで減衰までしても家が壊れるくらい大きな音が出る。