2025年6月29日日曜日

SigmaのRAW現像ソフトSigma Photo Pro

 久しぶりに写真のこと。今日は仕事の合間に私が撮影した写真のデータベースを眺めていたら、DP2merillで撮影した女性ポートレートの1枚が以前のRAW現像に気になる部分を見つけたのでもう一度現像することにした。

写真データベース

私はポートレートでも花でも風景でも何でも撮影した写真は1週間以内に最初のRAW現像をすることにしている。これはRAW現像の際、撮影のときのイメージが消えてなくなる前に現像したほうがよいと考えているからで、1週間以内であれば感じたこと、話したことや雰囲気、その時の気分みたいなものもまだ頭に残っている。RAW現像ではパラメーターを変更することで調整できる幅は結構ある。だから例えば夕焼けだったらもっと赤い方がキレイ、もっとコントラストを上げた方が・・・と撮影の時のイメージとは明らかに異なる方向へも持って行くことができる。SNSやYouTubeにアップされているものはそういうものが多い。彩度をかなり上げて地面の日陰が不自然に青くなった画像や動画は普通によく見る。それがダメとは言わないが、「いいね」ほしさためだけの薄っぺらいものに私には感じられる。もっと大切なものは自分の中にあるはずだ。だから1週間以内に現像し、そのときその空気を再現するようにRAW現像を行う。いったんそうしてできあがった画像はリファレンスとして残るので、仮にRAW現像をやり直すときもそれがガイドとなってくれる。風景だけでなくポートレートや花でもだいたい同じだと感じている。

具体的な現像のプロセスは、始めに全撮影データをカメラのメモリーカードからMacの新しいフォルダへコピーし、そこにJPEGやRAWといった名称のサブフォルダを作り、撮影データを分けて入れる。実際にはカスタムアイコンをつけたフォルダセットが作ってあるのでそれをコピーし、そこに分類する。

フォルダセット


次にRAW現像だが、撮影は時に数百枚になることもあるので、当然すべてをRAW現像はできない。撮影時にRAW+JPEG最高画質で保存するので初めはJPEG画像を見ながらハネる写真を決めていく。ただし削除はしない。Macのファイルラベルを使う。ピンボケやまちがえてシャッターを切ったりした明らかな失敗は「青」のラベル。また構図や表情が今ひとつでダメかもというものは「緑」のラベルをつける。かなり厳しく査定する。そうするとラベルのついていないものは平均すると半分くらいになる。これも実際には撮影により9割ハネる時もあればほとんどハネるものがない場合もある。半分は実感としての平均である。次にJPEGのラベルと同じラベルをRAWファイルにも付け、次に残った写真から良さそうなものをえらび現像しながら「黄色」や「オレンジ色」のラベルを付ていく。それらはPhotoshopファイル形式でPSDフォルダに保存するので、現像後はPhotoshopでレタッチを行う。通常はAdobeのCamera RAWにより現像からレタッチまでシームレスに作業することができる。

ただし、DP2merillはセンサーが特殊で汎用のRAW現像ソフトつまりCamera RAWが使えない。Fovionというセンサーのためである。なので現像にはシグマが提供するPhoto Proを使う以外方法がない。細かな設定なしでただ読み込むだけならPhotoshopプラグインも用意されているが、調整できないRAWなんて意味がないのでここでは触れないことにする。私も一度インストールしてすぐに消してしまった。

さて、そういう訳でSigma Photo Proで現像したデータをTIFFに書き出し、それをPhotoshop でレタッチを行うわけだが、以前も書いたがSigma Photo Proは動作がすごく遅い。調整のパラメータを少し変更するだけで一呼吸待つ必要があり微調整に時間とても時間がかかった。こう言っては何だが「Pro」が聞いて呆れる使い勝手だった。

私のMacはM1ultraのMacStudio だが、このソフトを使う限りお世辞にもその性能を活かしているとは言えなかった。だからポートレート写真集の制作にあたり、RAW現像をやり直しているのだが、このカメラで撮影したデータだけは何となく後回しになっていた。そんなわけでしばらく使っていなかったのだが、今日起動するとアップデートの案内が出た。以前もアップデートで期待したが結果は変わらずで、今回もそうかなと思いながらもインストールして起動したら、あら不思議だいぶ速くなっていた。どうして?と思いシグマのサイトを見ると、少し前にアップルシリコンにネイティブで対応したと書いてあった。うーん、これかな?

まあいい、どうにせよこれでRAW現像のストレスからだいぶ解放される。RAW現像のやり直しができる。

ところでシグマはまだこのFovionセンサーの新型開発は諦めていない、「開発中」と正式にアナウンスしているが、シグマには申し訳ないが私はもう新型が出ることはないと思っている。なのでこのDP2merillを大事に使って、壊れたらそれまでである。もう少し言うとシグマのような会社では「チャレンジし続ける企業」としてのブランディングイメージが最も大切で、そのために表向きセンサーを開発しているという態度を取っているにすぎない、と感じているからだ。もちろん全く開発していないものを「している」というのは嘘になる。だから年間僅かな予算はつける。どこかの大学と共同研究にでもすれば活動としてはおもしろいかもしれないし費用も大幅に抑えることができる。仮にFovionに確実な勝機があるならフルサイズの前にAPS-Cで新商品をとっくに出しているはずだし、衰退が続くカメラ業界で何年も先の見えない開発にリソースを割く余裕のある会社はないからである。

さて、以前撮影したデータのRAW現像をもう少し追い込んでみたいと思っていたので、今日はよい発見をした。

さっそく2枚だけRAW現像してみた。白黒前提で撮影したポートレート。

Sigma DP2merill F3.2  SS1/160 ISO400


Sigma DP2merill F3.2 SS1/125 ISO400

こうしてレタッチを終えた写真はキャビネサイズでプリントしチェック、必要に応じてレタッチを加えたり再度RAW現像からレタッチを行い再びキャビネでプリントし、よければA4サイズでプリントすることにしている。したがってプリントした写真の枚数は結構多い。キャビネのアルバムが30冊くらい、A4サイズは300枚くらいを5冊のファイルに入れてある。さらにその中からA3やA2でプリントする写真を決める。このプロセスは実に楽しい。A2サイズがプリンターから出てくるのを見ているのは今でも飽きない。

私は写真はプリントすることで作品としての命を持つと信じている。パソコンのモニターで見る写真がダメとは言わないが、プリントとは大違いなのである。例えて言うなら音楽のコンサートでの生演奏とレコードやCDくらい違うと感じている。トーレンスの520+オルトフォンMC20、真空管アンプ3台のマルチアンプで大型スピーカーの我が家のステレオ装置でもコンサートホールで聴くのと比べたらオハナシにはならないのである。

ただしパソコンで管理するのはプリントをファイルで管理するのに比べ利点もある。だからキャビネでOKまでいった写真は前述のデータベースにいれる。データベースのよいところは他のファイルとの関連を見たり撮影情報などを見られることである。

最後にDP2merillでのポートレートは白黒だけでなくカラーも挑戦したが人工照明下で発色が安定せず、黄色の偽色の発生などに悩まされた。今考えれば意地を張らずに白黒専用カメラとして使えばよかったと思っている。ま、いいけど。

逆にこのDP2merill、白黒写真専用カメラとして使うならまだまだ使えるということで、今でも時々持ち出しては遊んでいる。