2023年2月22日水曜日

新宿郵便局とクレオパトラ





娘の進学手続きの書類を出すのに日曜だったが当日の消印がほしくて新宿郵便局に行った。休日の郵便受付は2階、娘が手続きしている間待っていた。このあといっしょに買い物の予定。
ベンチに座って待っていると、どうもこの雰囲気、以前どこかにあったような。そう、思い出した、江東区の運転免許試験センターだ。

江東区の運転免許試験センターの免許証を受け取るカウンター前にある食堂「すごい」

共通するのは、なんとも「垢抜けない空間」の一言だ。どうしてこうなるのか待っている間ヒマだったので考えた。

ちなみに運転免許の更新にわざわざこんな辺鄙なところまで行ったのは、うっかり失効してしまったからだ。そもそも免許証には平成34年の誕生日なんて書いてある。もう勘弁してもらいたい。なぜ西暦にできないのかさっぱりわからない。

まあいい、で、郵便局の方がこれ

新宿郵便局、なんとも「郵便局」ぽいというか何というか


娘の手続きを座って待つあいだ考えた、「さて、これはどこから来るのだろうか」。

建築、調度品、サインの3要素で考えてみた。

まずは建築。メリハリがなく全体を沈ませるグレー基調の塗装をベターっと全体に、そして照明の色温度が高く青白い。さらに照度も低い。そうね倉庫の中のような空間づくり。これが一因。

次に調度品つまり家具類。中央にあるテーブル、なぜかテーブルクロスみたいなのがかかっていて非常にダサい。さらにその奥信じられないような色の長椅子。

最後にサイネージ、やたらと貼り紙が多い。しかも素人がマイクロソフトで作ったようなもの。あまりに多すぎる、左側天井からぶら下がっている「セルフコーナーこの先◯m」なんてふざけているようにしか感じられない。右側もとにかくやたら貼り紙だらけだ。極めつけは室内にノボリまで置いてある。この「やたらと貼り紙」というのは運転免許試験場でもすごく気になった。

そして、この建築、調度、サインが相まってこうなるんだなーあ、と。


ブルーグレーの内装に均質低照度な昼光色の色温度の照明だと辛気臭くなる。江戸東京博物館も同じ。

テーブルクロスなどのファブリックをはじめ住宅で使うような家具を置くと確実にダサくなる。

家具の色でインテリアのアクセントカラーにするときはシミュレーションに時間をかけて検討しないと大失敗する。

サイネージは合理的に、いかに少ない情報でわかりやすくするかを考える。貼り紙くらい私でもと素人が手を出したらうまくいかない。


まあ。そんなところ。

次はクレオパトラ。私の書斎にはいくつかポストカードが飾ってある。お気に入りの1枚がこれ。

「クレオパトラの真珠」というオペレッタのポスターのポストカード


オスカーシュトラウス作曲とある。まあ知らない、知らないでもいいだろう。たぶん良いのはオペレッタではなくこのポスターだけのような気がする。

すごくチャーミングなイラストなので気に入って本棚の一等地に置いてある。踊り子風クレオパトラだがそんなことどうでもいいのである。日本ではアメリカ映画の影響か、クレオパトラというとエリザベステーラーのあのイメージである。

コレね。

1963年だったかな、アメリカ映画クレオパトラ



この当時はアメリカは自信満々ですべてを、もう何から何までアメリカ的価値観で塗りつぶしていった。世界も宇宙も過去も未来も。その代表のひとつ。この映画を観ているとクレオパトラはマクドナルドのハンバーガーを食べていたような錯覚に陥る。

で、どうしたわけか日本でもこのイメージが完全定着した。

もう、どれだけステレオタイプなんだー!と叫びたくはならないが、どれもこれも似たり寄ったり。まあ、いいけど。

でも、あのポストカードを見つけて。もうかなり前になるが、「あーこういうのいいな」と思ったものだ。いや単純に「いいな」ではなく、なにかこう救われたような感じすらした。

そう、救われない感じの「運転免許試験センター」や「郵便局」「クレオパトラ」に世の中が「そんなものでしょ」と何も感じなくなっているときに、この「ポストカード」は「そうじゃないのよ」と語りかけてくれたのである。

もう立派に仕事のパートナーといえる。だからものすごく大切にしている。