2024年9月22日日曜日

写真の解像度アップにAI補完ソフトTopazを使う

 今回は久しぶりに写真のこと。

最近のカメラはスマートフォンも含めて解像度の高い写真が撮れるようになったので、解像度の低い写真の扱いに悩まされることはほとんどなくなった。だが、古い写真やネガフィルムをスキャンした画像の一部は解像度が低く、そのままでは使えないこともある。ちなみに例えば印刷物に使用する写真の解像度は240〜350ピクセル/インチと言われている。理想が350ピクセル/インチで、最低でも240ピクセル/インチはほしいという意味である。このピクセル/インチとは1インチに何ドットあるかと同じ考えで、ドット/インチと言われることもある。ドットとは「点」のことである。ピクセルは「画素」である。それぞれ略してdpiとかppiなどとも言う。先の350ピクセル/インチは350ppiとか350dpiなどと書く。なぜインチかというとアメリカ発祥の技術だからで、テレビの画面サイズを65インチなどと呼ぶのと同じである。

さて、解像度の低い写真のピクセル数を増やすにはPhotoshopで画像解像度で補完しながらピクセル数を増やし、全体にアンシャープをかけて少しだけパキッとさせる、というのが今までの方法だった。

最近、AIを使ったピクセル補完をするユーティリティソフトを手に入れたので、今回は従来のPhotoshopによる方法と比べてみることにした。

使うソフトはTopaz.Labs の Photo AI というソフト。このソフトとは別にビデオの補完を行うVideo AI というソフトもある。価格はPhotoが3万円くらい、Videoが4.5万円くらいだったかな。このソフトは仕事用で購入したものでクライアントから提供される写真やビデオが古かったり、なんらかの理由で解像度が足りない場合、それらを少しでもなんとかできないかと考えたためである。さてPhoto AIだが結論から言うと業務で使える確率は半分くらいというのが私の感想である。もう少し詳しく言うと写真によって使えたり使えなかったりということで、「これはイケる」というのが1/3、「まあまあ」が1/3、「使えない」が1/3といったところ。そしてまあまあの場合、最終イメージサイズが小さければ使えるが、大きいと辛い。

ただし業務での写真はAIによる判断がむずかしい題材が多い。打率5割は決して悪くないと言える。人や風景、ペットなどと違い、なんだかわからないような物が多いからである。こういうものをAIがどう判断するかはやってみないとわからない。やってみなければわからないような事例を紹介してもあまり参考にならない。今回は人の写真でどのくらい使えるかを紹介する。

使う写真は古いフィルムカメラで撮影したネガフィルムをフラットベッドスキャナーで読み込んだもの。ネガフィルムということで解像度は今のデジタルカメラの300万画素〜600万画素相当しかない。それをフラットベッドスキャナーで読んだ時点でさらに解像度は低下する。画像ファイル上は3000×2000ピクセルほどあるが、実解像度は1/2以下である。つまり輪郭がぼやっとしていてさらに輝度ノイズも多い。

これがPhoto AI でどう変わるか、さっそくやってみよう。

娘の幼稚園のときの運動会の写真、親と一緒に出る競技。一眼レフを使いASA感度100のネガフィルムで撮影した。レンズは135ミリだったと記憶している。ちなみにこの当時撮影したフィルムは結構たくさんあるが、この写真はカミさんと娘以外ほとんどみんな向こうを向いている、また遠くでこっちを向いている人はピントが不鮮明である。つまりサンプルとして好条件の写真である。やはり他人の顔が鮮明に写っているものを無断でネットに上げるのは法律がどうのと言う前にあまりよいことではない。だからこういった作例では写真選択には気を使う。これは数少ない使える写真である。

まずはネガをフラットベッドスキャナーで読み込んだ画像。

フィルムスキャナで読み込んだ状態






同部分拡大



少々アンダーで色合いも辛気くさい。これはスキャン時に補正せずにphotoshopで補正するつもりだったので仕方がない。先に色補正をかけてから補完するというのもあまりお勧めできない。だからまあ仕方がない。写真編集には順序があって、傾きやあおり調整、そして補完による解像度アップなどは最初に行う。露光量や色温度調整がその次、そしてゴミ取りなどしてから、部分部分のレタッチを行う。
さて、
次にPhotoshopでの補完2倍の同拡大、ただし2倍に補完後サイズを半分に戻しているので見た目はオリジナルと変わらない。まあ、そうだよね。

Photoshopで2倍の後元のピクセル数に戻したもの



つぎにTopaz Labs Photo AI で2倍に補完後サイズを元に戻す
Photo AI 2倍補完



このソフトは特に人の顔への適用に優れているようで、あきらかになめらかで輪郭もパキッとし、さらにノイズも減っている。オリジナルに比べプリントサイズを確実にワンサイズ上げることができる結果となっている。たいしたものである。

さらにこのソフト、FaceRecoveryというオプションがある。これはさらに人の顔をAIできれいに仕上げましょ、というモードである。

Photo AI 2倍補完+Face Recovery


たいしたものである。
カミさんのどアップはちょっとなので娘の顔のオリジナルとの比較
左:オリジナル、右:PhotoAI 2倍補完+Face Recovery


少しキレイにしすぎ、そこでパラメータを変更しほどよい補正に変更する。

右端、パラメータを調整したもの



塗り絵っぽかった補完画像がだいぶ自然な感じになった。
補完が終わったらいつものようにPhotoshopで色調整やゴミ取りなどをしてレタッチ完了となる。

完成写真


ちなみにこのFace Recoveryだが、横顔でもきちんと認識して補正してくれる。

横顔でも大丈夫



また、例えばAIが部分的に勘違いしておかしな補正をかけている部分があれば、レイヤを使って元画像やphotoshopによる補正画像と合成しレイヤマスクで調整するという使い方もある。上の写真でカミさんの髪の毛の生え際は不自然にコントラストが強調されているし、カチューシャの少し左側で髪の毛に明らかな不連続が見える。
こういう場合にはこの方法で調整すればレタッチせずに自然な感じに仕上げることができる。つまり1枚の写真の中で、AIが勘違いした部分は、その部分だけAIの画像は使わずに、Photoshopの補完・補正画像を使うということだ。これも常にこの方法でうまくいくという訳ではないが写真によっては有効な選択肢と言える。下の写真、AI補完とPhotoshop補完をレイヤマスクで調整して1枚に仕上げてみた。上の写真の不自然さがなくなった。

元画像とAI補完をレイヤマスクを使って合成


時間の関係でゴミ取りはしていないが、これなら十分プリントにも耐える品質と言えるだろう。

最後に、ではこのソフトは買いかどうかというと、最近写真を始めた人には不要だろう。最近のカメラやスマホは十分な解像度で撮れるから。また古い写真もあるがそれらを今からどうこうしようと考えていないなら同様に不要なソフトだろう。トリミングして一部を拡大したいが解像度が足りない、といった場合は使えるが、それなら撮影の際工夫して引きと拡大を撮る習慣をつけた方が何倍も良い結果が得られるだろう。ただし古いデジタルカメラの写真やフィルムの画像をプロラボでのスキャンなどせずに自分で透過原稿の読み取れるコンシューマー向けのフラットベッドスキャナーで読み込んだりし、しかもそれをある程度大きくプリントしたい場合などには使い方によっては使える、ということである。つまり過信は禁物で、それを理解して購入するならよい選択肢だと言えるだろう。