模型製作の仕事、遊園地のアトラクション。ウェーブスインガーというアトラクション。昔からあるアトラクションで最初に造られてから50年以上経つ。日本語では回転ブランコと言うらしいがウェーブスインガーという名称で一般化されているのでそのほうがよく聞く。
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ウェーブスインガー(Wikipediaのシェアフリー画像) |
今回、外装デコレーションのプレゼンをどうしたらよいかとクライアントから相談があり、全周ぐるりと見せるなら模型がいいのでは、と回答した。CG動画やVRでも良いが模型の方がわかりやすい。ただしこちらとしてはこの時期非常に忙しく、この模型だけに多くの時間は割くことができない。また高精度な模型を造るには費用もかかる。
そこで今回はデコレーションのプレゼンに特化した模型を製作することにした。
したがって細部の作り込みや人の乗るブランコ部分も製作しない。
ウェーブスインガーは上下に伸び縮みする「軸柱」と搬器をぶら下げる「傘部」そして人が乗る「ブランコ」から成る。軸柱と傘部のジョイントは「球」となっている。まずは傘部と球を製作する。
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傘部と球 |
球は本来アクリルやPETなどの球をAmazonや東急ハンズなので探すのだが、今回は時間がないので、中国製の安いLED電球100W形から球部分のみ切り出すことにした。素材としての球はAmazonに注文しても到着まで何日もかかるものがほとんど、東急ハンズにもあるかもしれないが買いに行く時間がない。そこで目を付けたのがLED電球である。これなら翌日には配達される。径もぴったりのようだ。
次に傘の部分。ここは発泡塩ビ版3ミリを使った。発泡塩ビは値段は高いが加工がとても楽なのでモックアップなどにはよく使う。
届いたLED電球から切り出した球を切り出すと材質はおそらくポリプロピレン、つまり接着剤が効かない。そこで接続部分は2液型のエポキシ接着剤を表裏をつなぐブリッジとして用いて発泡塩ビ板に固定した。接着剤の効かないポリプロピレンを接着剤のクランプで挟み込むようにして留める。古い人にはリベットのように使うと言った方がわかりやすいかもしれない。
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PP(ポリプロピレン)の留め |
次に傘のベース部分にフレーム取付用のマーキングをした。
そしてフレームづくり。ここも発泡塩ビ。今回はほとんどの部分を発泡塩ビで製作することにした。展示会用のしっかりした模型の場合、発泡塩ビは使うことができない。柔らかいので爪で押しただけで跡がつく。だが今回はプレゼン用である。製作しやすさを最優先とした。発泡塩ビの長所はカッターで楽に切ることができ加工が早く、アロンアルファで強力に接着できるので組立てが早いこと。また力をかけても曲がるが割れにくい。反面、短所は前述のように柔らかいので強度がなくキズになりやすいこと。そして材料の値段が高いことだろうか。同じ厚みで比べてもアクリル板の方が安い。
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フレーム(これが傘の骨にあたる部分となる) |
さてこのフレームだが、形状が直線ではないので電動糸ノコ盤を使って5ミリの発泡塩ビを4枚ほど重ねてカットすることにした。
カットしたフレームを傘のベースに接着する。接着剤はアロンアルファを多用した。今回の模型製作でアロンアルファを4本ほど使った。ただし力がかかる部分はアロンアルファで接着後エポキシ接着剤を盛って強化した。
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フレーム取付 |
フレームにはパネル取付用の受け材を取り付けた。16本のフレームづくりに半日かかった。ちなみに作業は他の仕事の合間合間だったのでトータルでどの程度時間がかかったかは定かではない。おそらく延べ工数で丸3日と少しくらいだろう。アロンアルファ接着後は連続して作業できるがエポキシ接着剤を使った場合固化するのに12時間程度かかるので、その間は他の部分を作るかまたは別の仕事をすることになる。また、今回の模型は図学的に各部の板取り図を計算するのがとても大変だった。
フレームにエポキシ接着剤を塗布しこれが固化するまでの間に屋根を作った。
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屋根(フレームを付けたベースに置いて合わせてみたところ) |
この屋根も反りがあるので板取り図を作るのが大変だった部分。屋根の頂部はポリエチレン樹脂の半球から切り出したドームを取り付けた。このポリエチレン球体はたまたま家にあったもの。
さて、次は軸柱の製作、ここも発泡塩ビを筒状に巻いて製作した。実はこういうプラスチックの素材を円筒に加工するのはなかなかうまくいかない。キレイな円筒にはまずならない。だから通常はパイプ材などをカットして使うことが多い。だが今回は前述のように材料を探す時間も手配する時間もないので仕方がなく巻くことにした。
軸柱ができたところで全体を仮組みして図面と照らし合わせチェックする。
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塗装前の仮組み |
次はいよいよ塗装である。ただしオーナメント部分は紙にプリントしたものを貼り付ける予定なので単色部分のみの塗装である。まずは紙を貼る部分も含め全体にサフをかける。今回はホワイトのサフ。サフの次はマスキング、これにだいたい1時間くらいかかった。マスキングが終わったのでエアブラシで塗装を始める。ラッカー塗料なので寒いが換気しながらの作業である。
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エアブラシ |
ウチのエアブラシはコンプレッサーが非力で大面積を一気に吹くのは苦手である。もう少し模型の仕事が増えればコンプレッサーは買い換えたいところ。2〜3倍くらいパワーが欲しい。ま、そのうち。
塗装はラッカーなのでエアブラシで吹いた後すぐに乾く。安全を見ても1時間もみれば十分。塗装の次は厚紙にレーザープリンターでプリントしたオーナメントを貼り付ける。受注金額と製作期間が10倍くらいあれば3Dプリンターでオーナメントは作りたいなどと考えながら今回はプリントをスプレーノリで貼り付けていく。
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オーナメントの貼り付け作業中 |
ドイツのメーカーから送られてきたいい加減な画像やクライアントから送られてきた泣きたくなるような参考写真を元に一手間も二手間もかけて見られるものに変えていく。このグラフィックの編集作業にすごく時間がかかった。ただしこれは毎回同じなので想定内ではある。
すべて貼り終わり、ベースをつけて完成である。
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完成模型 |









