2021年4月17日土曜日

シグマDP2メリルでポートレート

 シグマはフォビオンセンサーの開発に関して基礎研究からやり直すようなことを言っている。これは私の予想だが、事実上やめてしまったと思っている。

そうなるとちょっと残念な気がする。

 

今どきDP2mをどれだけの人が使っているかは怪しいし、欠点も多いが、独特の味があって面白いカメラだったので書いておこうと思った。

シグマDP2メリルはシグマが今から10年くらい前に発売したコンパクトカメラで、フォビオンというの撮影素子を使ったフォビオン3代目のシリーズの商品だった。

DP2メリルでの撮影と撮影データの現像は本当に辛かった。何が辛かったかと言えば、何もかもだ。しかしそれは仕事用ではあり得ないが、趣味なら十分アリだった。

まずこのカメラで撮影したRAWデータはAdobe Camera RAWなどの汎用ソフトでは現像できない。SIgma Photo Proというシグマ提供のソフトを使うしかない。私の使い方は、最低限の作業のみを大雑把に仕上げて、さっさとPhotoshopに引き渡すとういうものだった。
シビアな追い込みをしようにもホワイトバランスすら効率的に調整できなかったからだ。そしてレスポンスが悪い、プレビューが信じられないくらい遅い。なのでホワイトバランスも「だいたい」、露出補正も「だいたい」、でおわり。

それならいっそJPEGでいいのでは、と言われそうだが、これがそうはいかない。
ということで、さっそくはじめてみよう。

まずはそのJPEGから見ていこう。





ずいぶんいい加減なホワイトバランスで撮影したもんだな、と思われるだろうが、人工照明でLEDや蛍光灯を使うと、たとえカスタムホワイトバランス設定をしても使い物にならなかった。肌の一部が黄色に変色し始めるのだ。そしてこの黄色はRAW現像では修正できず、Photoshopでの修正も時間がかかった。なので撮影時はこのくらいで手を打つしかないのだ。

この画像をフォトショップのカラーフィルターで補正する。今ならCameraRAWフィルターだろう。
その結果がこれ。





色合いは正常に近づいたが、どうも色のりが良くない。保健室に行った方がよい顔色だ。

そこでさらに補正をかける。





うーん、まだまだ顔色が悪い。だが肩や右腕が黄色くなってきた。これ以上はだめだ。黄色の変色を無視したとしてもどうも色が悪い。
これがカメラ生成のJPEGが使えない理由だ。

で、RAW現像することになる。
それなら同時記録のJPEGは不要では、と思われるかもしれない。

そんなことはない。Sigma Photo Pro君をなるべく使わずに、構図、表情、ピントをチェックしてダメな写真をハネるのにJPEGはすごく役立つからだ。

だがこの作業、先ほどの色が転んだJPEGを見ながらで結構辛い。
もうこのへんで普通なら「シンドバッド7回目の後悔」だ。でもめげずに続ける。

終わったらSigma Photo Pro君でRAWを現像する。
Sigma Photo Proでの作業は、色温度を「だいたい」合わせ、露出補正を「だいたい」行う、それでおしまい。
まがいなりにもRAW現像である、シビアに追い込みたくなるのが人情だが、先にも書いたとおりやめたほうがよい。
絶対にうまくいかない。
で、「だいたい」で書き出したTIFF画像がこれ。





次にこのTIFF画像をPhotoshopで開き、レンズフィルターなどでホワイトバランスの再度調整を行い、レベル補正で同様に露出の調整をする。必要に応じてトーンカーブも微調整する。今ならCamera RAW フィルターを使っても良いだろう。黄色の変色がひどいなど、うまくいかないときはSigma Photo Proに戻り、そのうまくいかないのを考慮した方向に少し設定を変えて再びTIFFに書き出しPhotoshopへ。だいたい3往復くらいで何とかなる。
専門的なことはわからないが、おそらくフォビオンは汎用のRAW現像ソフトが対応しないのや、新しいセンサーの開発がうまくいかないのは原理上センサーからの情報が頼りなく、有用な情報を取り出す処理がたいへんむずかしいということではないだろうか。

さて、Photoshopでうまくいったら、色深度を16BITから8BITにして、最後にこまかなゴミ取りや部分的な色かぶりなどを丁寧に補正し、PSDファイルで保存して基本現像作業完了となる。





 

一見してわかるとおりJPEGの補正画像と比較すると雲泥の差だ。





こうして苦労して撮影し、現像した写真の中に、ときどき、なんとも他のカメラとは異なる渋い絵を見つけることがある。
散々悪口を書いたが、一度それを手に入れてしまうと全部許せてしまうのだ。
そしてそんな不思議なカメラはこれ以外に知らない。

今回は説明の作業プロセスを説明しやすい写真を作例に選んだが、例えば





これなどは独特に色合いと材質感が出た写真だと思う。この無機質感が好きだった。

単にPhotoshopで彩度調整してもこうはならない。
ちなみにシグマのソフトはこのPhoto Pro君の他にPhotoshopプラグインもある。こちらはPhoto Pro君で設定が完了した、または設定をしないですむファイルをダイレクトに開くためのプラグインだ。Photo Proで最後に書き出すひと手間を惜しむためとは思えないので、晴天時の風景写真なら直接Photoshopで読み込んで調整、でなんとかなりますよ、イライラしないで済みますよ、ということだったと思う。

 

最後にDP2メリルのポートレートは白黒を前提に撮影する場合は、カラーとは違ってストレスは大分少なく、しかもいい味だった。

私はカラーにこだわったが、時々撮っていた白黒写真が苦労知らずでいい絵が得られ、何度カラー写真にくじけそうになったことか。





白黒でも独特の材質感があり、私の好みにぴったり合った。

 

最後に、私はポートレート写真を撮るとき、極力表情をなくし物のように無機的に撮るのが好きだった。歯をみせて微笑んでいる写真は1%未満だ。今回はわかりやすさでこれにした。

逆に物のように、悪い言い方をすればマネキンや人形のように撮るのが好きだ。その理由はいつか改めてここで紹介するが、こういうこだわりを持った撮影の場合、RAW現像やPhotoshopでの調整の方向が明快となる。撮影の時にあまり考えずに、現像の時どうしようかな、ああかな、こうかな、とやっていると私の経験では大抵つまらない写真となる。

モデルをあまりジロジロ眺めるのは失礼だが、ちゃんと見て撮り方を考えるのが大切だと思う。

 

昨今流行の「ボケ」とか「空気感」などもあまりこだわると、いつも同じような写真ばかりになってしまう。




2022年5月19日追記

さて、その後Mac StudioのM1 ultra版を導入し使い始めた。miniとは比べものにならないくらい速い。3Dのレンダリングは4.5倍高速になった。Photoshopの時間がかかる強化フィルターは10倍以上速くなった。


これならダメダメなSigma Photo Proもなんとか使えるのではないか、と最新版をインストールして使ってみた。

結論から言うと、結果はガッカリだったのだが一応処理時間の比較を書いておく。


テストその1

デスクトップのファイルをクリックしアプリを起動しファイルを開く

Miniが4秒93、Studioが9秒11となぜかStudioは倍以上遅い。プログラムの起動が遅いのが原因だ。


テストその2

モードをカラーからモノクローム(白黒)に変換

Miniが4秒69、Studioが2秒82とここではStudioが2倍くらい速い


テストその3

ホワイトバランスの変更

Miniが8秒86、Studioが7秒22とあまり差がない


テストその4

調整モードの変更

Miniが8秒03、Studioが6秒83とこれもあまり差がない


テストその5

TIFFで書き出し

Miniが2秒46、Studioが2秒64とほぼ同じ


テストに使った画像はこれ




つまり他のソフトでは4倍から10倍も高速化のStudioだが、Sigmaではほとんど速くなっていない。まあ微妙には速くなっているが、軽自動車からスポーツカーに乗り換えて最高速度が1割アップといった感じ。納得がいかない、と言う意味だ。

これはね、どう考えてもプログラムがおかしい。私の経験から想像するに、仕様と費用だけで外部発注したようなソフトの出来で、内部にプログラムに詳しい人が誰もおらず、それでもスピードが遅いのは誰でもわかるので、なんとかできないかとソフト会社に問い合わせすると、仕様通りですよ、スピードアップするにはシングルコア対応からマルチコア対応に変えるため、コードからやり直しで、費用が3倍くらいかかって全部やり直しですよ、といわれて「くしゅん」。

というパターン。


というわけで、使い方は今まで通りだね。





2021年4月15日木曜日

マルチアンプとπ型アッテネータ


 

私はいわゆるオーディオマニアではないので、ステレオにあまりお金はかけないが、それでもいい音で音楽は聞きたいと思っている。

CDよりレコードが好きで、レコードを聴きながら本を読んだり雑誌をペラペラ眺めるのが好きな時間の過ごし方だ。

 

スピーカーは3ウェイで低音は30センチコーン形の140リットルの大箱入り、中音はドライバー+木製ホーン、高音もホーンスピーカーで、これをマルチアンプで鳴らしている。スピーカーのクロスオーバーネットワークを使わないのは設定が難しそうだからだ。また、スピーカー内蔵のクロスオーバーネットワークより、アンプ手前のクロスオーバーネットワークの方が音がよい。さらにこれはどうしてなのかよくわからないがアンプは帯域を絞って、つまり各スピーカーごとに専属させて方が音がよい。

 

マルチアンプなので3ウェイだからステレオパワーアンプが3台とチャンネルデバイダーが必要になる。また少々扱いがデリケートになるのでこの方式は一般的ではない。だが音は確実に良くなるので私としてはとても満足している。

ちなみに私は安いdbxのチャンネルデバイダーを使っている。アマゾンで3万円ちょっとだった。






安いのは良いがどうしてもノイズが大きい。だからプリアンプで絞ってパワーアンプで大きくする使い方だと辛い。

プリアンプでボリューム1時くらいでちょうどいいくらいにし、パワーアンプが非力で出力15Wくらいだとノイズが少なくて良い。

 

本当はチャンデバのいいのを使うのが理想だが今はどこも作っていない、高級オーディオメーカーの中古も高い。なのでdbxにした。

 

アンプは真空管アンプで出力10Wだ。だが2台は揃えたのだが、あと1台足りない。そこでトランジスタアンプ(プリメイン)をボリューム最大固定にしてパワーアンプもどきにして使うことにした。トランジスタアンプなので出力は65Wx2だ。真空管の約6倍だ。

そこで最初、dbxでトランジスタアンプをつないでいる高音用のゲインを下げてみたが、前述の通り、ノイズが多い、トランジスタアンプのボリュームで音を絞るのもダメだ。

困った。

 

解決策はdbxからトランジスタアンプにつなぐ途中にアッテネータ(抵抗器)を入れる方法だ。

 

だが、そもそもステレオの各機械の間のインピーダンスは600Ωくらいになっているので、でかい抵抗を直列にどーんと入れるわけにはいかない。そこでインピーダンスを変えずに音を小さくする装置が必要になる。

それが今日紹介するπ型アッテネータだ。

 

必要な物は、ピンケーブル1ペア、金属皮膜抵抗いくつか(減衰率によって抵抗値は異なる)、ハンダ、ハンダコテ、熱収縮チューブ、エポキシ粘土、あとはニッパーやドライヤーなど。

 

まずはじめに理論。といっても超簡単で、電気屋さんに笑われてしまいそうだが、こんな感じ。






まあ簡単に言うと、流れを悪くする分、抵抗の入ったバイパスで帰してあげて、送り出し側のストレスを感じさせないようにしましょう、ということ。30kΩの抵抗を入れて流れにくくなる分、600Ω(1.2KΩx2で600Ω)の抵抗経由で逃がしている。

まあ、この辺は簡単なのだが、この抵抗5つをケーブルの一部に組み込むのだが、これが難しい。

なんとか完成し、思っていたよりよくできたので、ここで自慢することにした。同じようなアッテネーターを必要としている人の参考にもなるかもしれない。ならないかもしれない。

 

以下がその作り方。

まずRCAピンケーブルを真ん中で切り、カバーを3センチくらいむく。同軸ケーブルなので

GND側は網状になっているこれをほどいてよじる。




 


そこに1.2KΩの抵抗2本とバイパス用の銅線を1本、合わせて3本をつないで半田付けする。熱収縮チューブを挿入する。




熱収縮チューブを加熱し3本を絶縁すると同時に小さくまとめる

ピンケーブルの中心線(HOT)と先ほどつなげた2本の1.2kΩの足を合わせよじり、30kΩの抵抗をつなぎ半田付けする。




熱収縮チューブを挿入ししばらく奥の方に押し込んでおく。




反対側も同じように加工し、図の一番上の銅線に熱収縮チューブを入れておく。また全体をカバーするための熱収縮チューブも入れておく。




バイパスの銅線同士を半田付けし、熱収縮チューブをずらしてカバーをする。加熱収縮はまだしない。

下側の30kΩの抵抗の足に左側と同様に1.2kΩの抵抗の足2本と同軸の中心線(HOT)をつなげ半田付けする。




奥に詰めてあった熱収縮チューブを引っ張り出して真ん中の30kΩの抵抗と銅線などを絶縁する。

ドライヤーで熱収縮チューブを収縮させる。




全体カバー用の熱収縮チューブをずらして持ってきて収縮させる。

最後にエポキシ樹脂でカバーを整形し、固まったら塗装して終了。




下の写真は、エポキシ樹脂の前、熱収縮チューブが終わったところ

ステレオなのでもう1セット同じ物をつくる。写真は2本とも終わったところ。




製作の注意点は、全部組み上がったら変更できないので、半田付けごとにテスターでチェックしながらつくること。




 

最後に、2本ともテスターでチェックして完成。

上の図では最後まで2本バラバラだが、実際には左右2本を最後にくっつけてエポキシで固めた。

左チャンネルが1154Ω、右チャンネルが1155Ωだった。数パーセントの誤差は気にしなくてよい。聞いてもわからない。




エポキシ樹脂が固まったのでステレオにつなぐ前に最終チェック。数値は変わらない。OKだ。

いまはこれのおかげでノイズが少なく快適に音楽を楽しんでいる。

当面高音用はトランジスタアンプでなんとかなりそうだ。

 

 

 

 

 

2021年4月14日水曜日

ベルベットアンダーグラウンド、ニコ、ウォーホール


  


先日ポップアートと称して、写真のポップアート風作例を紹介した。その時アンディ・ウォーホールについてふれたが、ウォーホールは、キャンベルやモンローなどのポップアートの作品の他、ベルベットアンダーグラウンドのデビューアルバムのプロデュースも行っている。

有名な1967年の「The Velvet Underground & Nico」バナナアルバムである。

このレコードアルバムはウォーホールのポップアート作品の中でも特に有名なものの1つでセンスがいい。

50年前のデザインだが全く古さを感じさせない。

バナナの上の方に小さな文字で「ここからはがしてね」と書いてあり、バナナ部分がシールになっていて、皮をむくことができるという趣向が憎い。当然ながらCDの方はそんな風にはなっていない。ごく普通のプラケースCDと同じ、紙にバナナが印刷してあるだけだ。悲しいことに「ここからはがしてね」の文字だけは入っている。レコードとは正に雲泥の差だ。





さてこのアルバム、タイトルにある「ニコ」はファッションモデルで、ウォーホールが連れてきてこのアルバムでは3曲歌っている。

背が高くてすごくカッコイイ女の子だ。身長178センチだったらしい。

ニコはベルベットアンダーグラウンドに参加する前は映画にも出ている。フェリーニの1960年の映画「甘い生活」だ。「ニコ」という名で出ている。しかも端役ではない。マストロヤンニより背が高かったのでこのシーン、マストロヤンニは下駄でも履いたのかな。





また、ジャズのビル・エヴァンスの1962年のレコード、「Moon Beams」のジャケット写真の女性、なんとこれもニコだ。





だが、「甘い生活」のニコは冴えない、演技も素人だ。このレコードジャケットもどうだろう今ひとつと感じるのは私だけだろうか? さらにベルベットのアルバムでの歌手ニコも歌はあまり良くない。

しかしこのアルバムのジャケットの見開きページにあるニコの写真はすごくカッコイイ。下の写真、ジョン ケイルと一緒に写っている。

ちなみにウォーホールもタンバリンを持って写っている(写真左下)、若い。





そう、なんとも不思議だ。映画ではイマイチ、歌もねぇ。でもこの人気。こうなるともう完全にノックダウンだ。気になって気になってしかたがない。想像力が駆け回る。

「ニコ」をウォーホールに紹介したのがボブ・ディランだったらしい。

その前、1962年には俳優のアランドロンとの間に男の子を出産している。

 

ベルベットとはファーストアルバム発表と前後して行われた何度かのライブで、他のメンバーとだんだんうまくいかなくなり、結局ファーストアルバムのみでおしまいになってしまった。だがそれはベルベットにとっては良かったことかもしれない。

彼らのサードアルバムを聴けばわかる。

商業的に成功したのはデビューアルバムだが、音楽的にはなんと言ってもこのサードアルバムだ。





アルバム名は「The Velvet Underground」

サードアルバムでバンド名、である。

だがこのアルバムにニコは当然、アンディ・ウォーホールの名もない。アルバムジャケットもこの有様だ。

それはロックバンドにはごく普通のことであり、別段悪くいうところでもない。音楽的に良いのだから全く問題ない。

だがファーストアルバムのビジュアルと比べるとどうだろう。ウォーホールが並外れたセンスの持ち主だったとは言えるだろう。

 

ウォーホールは1987年の彼の死によって、モンローやキャンベルなどのリトも値段が沸騰し、とても買えなくなってしまった。

複製画なら数万円で手に入るが、シリアルの入ったオリジナルは1000万円以上だ。

だがリトの複製画というのも悲しい限りだ。カッサンドルやミュッシャならまあ仕方がないが。

そこで、このベルベットのファーストアルバム、





このレコードアルバムは今でも入手可能だ。

そしてこれこそ正に、あなたにも手に入るウォーホール作品と言えよう。

どうだろう一家に一枚ウォーホール。今ならタワレコで3000円だ。

 

さて、ウォーホール作品と言えば、もう一つ私は所有している。

これだ。





キャンベルトマトスープの缶だ。元町のスーパーUNIONで300円くらいで手に入る。

決してふざけているわけではない。ウォーホール作品で最も有名なキャンベルトマトスープのリトだが、こと日本においては本物のスープより、ウォーホール作品の方が有名だ。

このスープを飲んだことがある人より、ウォーホールの作品を知っている人の方が多いという意味だ。ちなみにものすごく不味い。

だからこれくらい有名なアートになると、逆説的にアートのモチーフとなった本物の缶詰を飾ることが、十分アート体験となりうるのである。

我が家では缶をひっくり返してホールソーで丁寧に孔を開け、中身を全部捨てて良く洗い、飾ってある。娘のお気に入りで勉強机の棚に飾ってある。

キャンベルもその辺の事情はよく心得ている。

この缶だけは何が何でもデザインを変えることはないだろう。

 

 

 

2021年4月13日火曜日

JPEG保存にご用心



 この内容は以前、別のブログで書いたものだがサービスを停止してしまったので、今回改めてここに紹介することにした。


すべての画像は今回改めてPhotoshopで作成した。
また、条件を変えての実験も行ったのでそれらも合わせて紹介する。

では始めよう。
Photoshopでレイヤや調整レイヤを使って編集した場合はPhotoshopファイル形式(PSD)での保存が原則だが、レイヤーなどを使わなかった場合はどうだろう。
よくJPEG最高画質で保存したらダメなのと聞かれるのだが、結論から言うとあまりおすすめできない。

なぜならJPEGは保存のたびにすこしづつ画質劣化が進行するからだ。

画像をメールで送ったり、WEBに貼り付けるにはJPEGは便利だが、編集して保存、また開いて少し編集してまた保存のように何度も保存を繰り返すとかなり、そして致命的に画質が劣化する。
今でも最高画質で保存すれば大丈夫、少なくとも素人目にはわからない、という意見もある。
確かに1度の保存ではわかりにくい、だが回数を重ねるとかなりひどいことになるのも事実だ。しかし徐々に進行する劣化に気がつかないこともあるので注意が必要だ。

そこで、JPEGの複数回保存による画像劣化を検証するために、ちょっと無茶かもしれないが、PhotoShopで同じ写真をJPEGの「最高画質12」で50回保存をしてオリジナルと見比べることにした。実験に使った画像は2736X3648ピクセルの撮影画像。
全体像のリサイズでは背景の壁のなめらかなグラデーションを、部分等倍ではモデルの目や肌を比べてほしい。
まずは1回目、つまりこのブログにアップするために1回だけJPEGに書き出した画像。





左が全体、右が部分の等倍

保存して開いて、また保存を繰り返し、5回目





ほとんど変わっていないように見える

次は10回目





よく見ないとわからないが小鼻のところにノイズが出始めた。背景の上部にもトーンジャンプが見られる。

15回目





さらにノイズが増えてきた。背景上部のトーンジャンプもかなり目立つようになった。

20回目




 

30回目





さすがにここまでくると違いは明らかだ。

最後に50回





50回は普通考えられないが良い機会なので試してみた。ものすごいノイズだ。

 

JPEGの最高画質でも回数を重ねるとこんなに劣化する。もし少しだけ画質を落とすとどうなるのだろうか。
「JPEG高画質9」でも同様に実験してみた。
まずは1回目




1回目では先ほどの「最高画質」との差はわからない。

次に5回目






10回目






20回目






30回目





実験は50回まで行ったがここまでで十分だろう。

「最高画質12」と「高画質9」とでは明らかにノイズの種類が異なる。
最高画質12では日焼け跡の皮がむけだしたようなノイズが入るのに対し、高画質9ではポツポツと大きなノイズが入る。
この大きなノイズの大きさは8x8ピクセル。JPEGの1ブロックのサイズである。
JPEGは8x8ピクセルのブロックを特殊な処理で圧縮するので、このようなことになる。ブロックノイズと呼ばれる。

では、画像のピクセル数が少ないと相対的にこのノイズが大きくなるのだろうか。
やってみた。ハーフサイズで50回(画像のピクセル数は1368X1824)





ただし比較のため、右側の拡大図は200% 表示となっている。
当たり前だがノイズの絶対的な大きさである8x8ピクセルは変わらず、画素数が少ない分、相対的にノイズが大きく見える。

さらに実験は続く。次は画像にソフトフィルターをかけたものとストレート現像のままの画像での比較。
結果から言うとノイスの出方は大きく違っているが、ノイズの量にはあまり差がなかった。
5回や10回では差はわかりにくかったので20回目





部分拡大のみだがこのような違いが出た。
左がソフト処理あり、右がストレート現像ソフト処理なし。
ノイズの出方は少し違うようだが。

別の部分で同じく20回目




同じく左がソフト処理あり、右がストレート現像ソフト処理なし。
やはりノイズの出方は少し違う。

次に50回目





左がソフト処理あり、右がストレート現像ソフト処理なし。

別の部分で同じく50回目





若干ソフトありの方がノイズが目立つ。JPEGは特になめらかなグラデーションに悪影響を及ぼす。ソフトをかけた方がよりなめらかなグラデーションになっているためだろうか。

ということで最後に、現状のプレーンな背景を多少ごちゃごちゃした背景に変更して実験してみた。
背景が賑やかな場合、人物の部分に影響があるだろうか。
実験に使ったのはこの画像、Photoshopで背景を入れ替えたものだ。





これを途中は飛ばして50回目を見てみよう。
今までと少し倍率を変え、背景と人物のディテールがわかるようにして比較





背景が異なっても人物部分のノイズの出方は全く同じになった。確かにJPEGの理論上はそうなのかもしれないが、ここまで完全に一致するのには驚いた。

最後に今度は等倍まで拡大した背景の比較





左がJPEG保存最高画質1回目、右が50回目。
人の肌はかなりノイジーで誰の目にも劣化は明らかだ。だが背景の部分はよく見ると違っているがほとんどわからない。
JPEGの画像劣化は先にも書いたが、なめらかなグラデーション部に出やすい。

だがこれは劣化が少ないという意味ではなく、劣化が目立たないということだ。

今回はJPEGの最高画質または高画質について、実験してみた。
高画質未満は1回の保存で致命的な劣化が生じるのでここで改めて実験する必要はないだろう。
参考までに1枚だけアップすると





こんな感じだ。品質3で保存した結果だ。ただしこの画像のみ元の画像との比較のため、品質3で保存したものとPSDのオリジナルを並べ、JPEG最高品質で保存しているため、厳密には2回のJPEG保存となっていることを断っておく。

JPEGのノイズには今回の8x8ピクセルのブロックノイズの他に、モスキートノイズというものがある。
これは圧縮率が高い時、コントラストのある部分に細かな点状のノイズが見られるものだ。
最後の画像の目頭の下に発生している。

 

なお、今回例えばJPRG保存50回というのは同一画像を49回JPEGで別名に保存し閉じ、再び開いて別名で保存を繰り返した。

回数が49回なのは、2枚の画像を並べ、全体と部分を合わせた1枚の画像にするため、最後にもう一度JPEG保存をするためで、この1回を含め、50回とした。ただし全体と部分はピクセル数が異なるため、最後の1回は厳密な意味では正確な実験となっていないことをお断りしておく。