模型作りの仕事を受注した。
いつもの模型製作会社が納期に間に合わないとのことでウチの事務所で作ることになった。
今回の件はクライアントにも模型会社にも言いたいことがあるが、そういうことは多く考えてもストレスになるだけなのでサクッと割り切って、ひさしぶりに模型作りを楽しむことにした。
今までは建築模型しか作ったことはなかったが、今回の仕事は「橋の模型」。小さな川にかかる小さな橋。新商品らしい。
小さな橋だが製作はけっこう大変で、製作にあたってはまず最初に加工機械やエアブラシなどの新規の機械を入手することから始めた。結構費用がかかったが必要なので仕方がない。
さらに材料代、つまりアクリル板、塗料、接着剤など、それに展示ケース、移動用ボックスなどの材料も購入。
今後模型を受注するかはわからないが、機械類は今回分として費用の1/5をみて、これに材料費。残りを労務費とすると・・・よせばいいのに計算してみた。
なんと時給500円となった。あはは。
橋の模型で縮尺は車に合わせて43分の1、このスケールだと鉄骨の構造材の板厚がほとんど1ミリ以下になる。アクリル板で1ミリ未満はないので、すべて1ミリで作ることになる。だが1ミリで作った構造材で50センチのスパンはたわみが多くダメかもしれない。これは組んでみて接着するまでわからない。経験値がないからだ。そのため2ミリと1ミリの両方で実験し、強度を検証する。
また、各部ディテールは加工が非常に難しい。ボルトやスタッド鉄筋など。これらは様々な材料を買って加工してみてどの方式で行くか決めることになる。
こういったトライアンドエラーが非常に多く、従って製作も時間がかかった。もしもう一度同じ物を作るなら時間は1/4以下ですむだろう。
さて、例によって実際の模型の写真はアップできないが、部分的には見せてもいいかな。
ここでは製作環境をメインに書くことにする。
まずは書斎の加工テーブル。
いつもは写真プリントアウトのカットやちょっとした手作業用のテーブル。ここが今回1ヶ月ほど模型専用の主戦場となった。カッターマットがかなり汚れてしまったので買い換えるかね。
次に工房、様々な加工・製作用の作業場。ここも1ヶ月模型専用となった。
今回購入した機械は、テーブルソー、ベルトサンダー、テーブルドリルと微調整用のテーブル、糸鋸盤、サイクロン集塵機、エアブラシ、コンプレッサー、ミニルーター、エアブラシ用ファン付き塗装ブース。
さらに自作のウレタンフォームカッターなどを使った。
時間がないので、あまり検討せずに思いつくままドカッと購入したが運良く使えない機械はなかった。程度の差はあれ、すべての機械を使った。
次に図書室兼撮影室のテーブル
このテーブルが今回は塗装台となった。エアブラシは小型の中級機を購入したがとても使いやすかった。塗装ブースはプラスチック製だがファンが2台付いている高級版、ファン2台でも十分とは言えないが、完璧なものを望むなら自作しかないだろう。もちろん今回はそんな時間はない。ハンドピースの台もおもちゃのようなプラスチック製、千円ちょっとだったのでしかたがないが、これはそのうち作り直そう。
作業スペースは以上。
あとは仮置き台としてローテーブルを2台使った。
先にも述べた通り、実模型の写真はアップできないが、これが部分。
ボルト接合のボルトは1つ直径0.8ミリ程度。これを全部で1500個くらい作り手作業で1つづつ並べた。3Dプリンターでもあれば、と何回思ったことか。
テストモデルの製作に2週間、その後打合せを経て実モデルの製作に3週間。その間平均睡眠時間は5時間、最後の1週間はもっと少なかった。
製作はどのプロセスも辛く、そして楽しかった。
先のボルトなどどうやって作るか寝ても醒めても考えていたのを思い出す。このボルトはボルトの製作も精密ピンセットを使っての貼り付けも娘が手伝ってくれた。
エアブラシは今回初めて使ったが、使用方法は簡単だった。ネットや説明書を10分も読めば原理は理解できるし、実際に吹きながら調整すれば2〜3時間でこの手の塗装くらいならできるようになる。水彩画の方が10倍くらい難しいかな。つまりそれくらいエアブラシは簡単。
もちろん極めるならもっともっと時間はかかるだろうが。
というわけで、なんとか完成。
完成したら写真撮影。
私個人の記録用ならiphoneでテキトーに撮ったので良いが、今回クライアントが写真が欲しいと言うので仕方がない、塗装台を撮影台に戻して撮影。
まあ、写真は契約にないので、サービスカットのようなもの。iphoneという訳にはいかないが本格的な撮影の必要はない。背景含めテキトー。
塗料などは図書室なので、本棚にとりあえず置く。もちろんこれだけではない、本棚のあちこちにかなりの量が置いてある。
こういう「とりあえず」が結構多い。これもしかたがない、何度も書くが時間が足りない。
展示用のアクリルケースを作り、運搬用の段ボール箱も作った。
段ボール箱と言っても強化段ボール厚さ1.5センチを使って作る。製作図を描いて製作に丸1日かかった。丸1日と言っても徹夜して24時間だ。やれやれ。
今回の製作では、作業予定を考え、それを終わらせてから寝る、という方針で進めた。だから予定より早く終われば早く寝られるし、逆なら寝られない。この箱は12時間くらいで終わるつもりだったのが24時間かかってしまった。なのでこの日は睡眠時間ゼロ。
手前が強化段ボール箱の下側。クッション材にフェルトを張ってサポートする。
その向こうが展示用アクリルケース。
その向こうが強化段ボール箱の上側。ステンシルで置く向きを指示してある。
さらに薄い段ボールの外装箱をつくり持ち運び用のバッグを作った。
持ち運び用のバッグ。模型の撮影のあと、予備日に作った。
今日、各パーツを仮留めした状態でクライアントのオフィスに持ち込み確認をしてもらった。
問題なし、ということで1日かけてすべてを本接着する。その後ケースや土台をクリーニングして納品となる。
電車で持って行くことにした。クライアントも展示会会場まで電車で運ぶらしいので、まあその実証実験も兼ねて。
帰宅後、持って帰った模型の接着を始める。
1カ所エアブラシを吹くのを忘れていたカ所があるので、そこも接着前に吹くことにした。
撮影台を再び塗装台に変更する。
だが今度は汚れ防止に段ボールを敷いた。前回の塗装汚れはラッカーで清掃済み。
また、スポイトなどの入れ物は工房にあった木材の切れ端を使って台をつくった。これで簡単にはひっくり返らないし動かない。
すべての接着が終わり、あとは強化段ボールの箱のベルトを少し工夫して終了。だがベルトの金具があまり良くないので、新規に注文した。これが到着したら加工し組み込んで完了となる。
さて、製作に関しては以上だが製作環境は、少し考えないと。
まずは今回買った機械類の収納スペースをつくる必要がある。また、塗料や材料の置き場も。
次に集塵機。カットやペーパーがけが多いのでかなりの量の切りクズやホコリが出る。そこでサイクロン式の集塵装置を買ったのだが、もう少し使いやすくしたい。
スプレーブースももう少し使いやすくしたい。
これらは製作しながらどういう風にしたら使いやすいかを考えていた。
だが次の仕事がしばらく忙しいので、実行するのは早くて年末かな。