2024年4月18日木曜日

Macintosh MA6450の修理

 仕事をしながら音楽を聴くためのステレオのアンプ、マッキントッシュMA6450の調子が悪く、右チャンネルの音が出ないことがしばしばある。ボリュームをくるくる回すと直ったり、左右バランスをくるくる回すと直ったり、スピーカーAB切り替えをしたら直ったりと、これはどうもあちこち可変抵抗やスイッチの接点不良だろう。このアンプ、プリ部はお粗末で、ボリュームの可変抵抗などはあまり良いパーツは使っていない。可変抵抗器は良いものはそれなりにデカい。これのは小さい。

最近は毎回くるくる回してごまかしごまかし使っていたが、不具合の頻度が高くなり、これはちゃんと修理しよう、ということになった。内部ランプをLEDに変えたり、内部の掃除で完全にバラしたこともあるので、修理のポイントはほぼ見当もつく。まあ1時間くらいの作業だろう。

まずはラインやスピーカーなどの配線を外し、アンプを作業台へ移動、ネジを外してカバーを開ける。

MA6450カバーを外したところ


次にフロントを外し、ボリュームユニットの付いた基板を外し、基板上の可変抵抗のホールに接点復活剤を注入する。それぞれの孔にワンプッシュくらいとかなり多めに注入。タレてくるほど多いのは良くないが少々多めでも問題はない。接点復活剤はショートしたりしない。

接点復活剤



注入後はアンプに取り付ける前に何度も何度もくるくる回して薬剤をなじませる。接触不良の主たる原因は接点(金属)の酸化皮膜なので、念入りにくるくるすることで酸化皮膜を除去する。


基板を元に戻し結線し、フロントのプッシュスイッチにも接点復活剤を差し、元通りに組み立てる。アンプを元の位置に戻し配線後に音だしチェック。接触不良がなくなった。よしよし。これで数年は大丈夫だろう。



さて、今週は打合せが4件入っているので出かけることも多い。いい陽気なので散歩もよい。おでかけはフジの古いデジカメをポラロイドのように使っている。これが結構楽しい。

1枚目は散歩でオペラシティへ行ったときに撮った写真。

オペラシティ


次は散歩の途中、三井ビルでコーヒーブレイクの時に撮った写真。

三井ビル(TMA-1, Tokyo Magnetic Anomaly-1)←😁

3枚目は昨日打合せのときに撮ったもの、ただしカメラを忘れてこれはi-phone。

デッキ


4枚目は今日の夜、夕食を食べ過ぎて食後の腹ごなしで散歩したときに撮った都庁のプロジェクションマッピング。

都庁


すべてphotoshopのバッチ処理でポラロイド風に仕上げる処理をしている。バッチ処理を使えばたとえ100枚の写真でも2〜3分で処理できる。階調を落とし、若干アンダーにして最後に周辺光量を減らしリサイズして保存している。

最近ネットで、あえて昔風の画質の悪い写真を撮ることがトレンドとして一部で流行っているという記事を見た。まさにこれだなぁ、と思いながら自分で撮った写真を眺めている。「性能より味」というわけだ。



2024年4月10日水曜日

桜の写真と被写界深度

 用事で新宿へ出た帰りに桜を撮りに新宿中央公園の隣の熊野神社へ寄った。あまりいい写真が撮れそうもなかったが一緒の行った娘は熱心に撮影していたので、ふと被写界深度別で撮影をしてみた。被写界深度とはわかりにくい名称だが、ピントの合う範囲のことで、例えばカメラから4mのところにピントを合わせた場合、4mのところはピントが合うのは当然だが、少し近いところや遠いところにも同時にピントが合うかどうかのことである。ピントの合う範囲が広い場合、たとえば4mに合わせたときに1mから10mくらいまで合うような場合は「被写界深度が深い」、逆に4mのところだけピントが合い少し前や後ろはボケてしまうようなときは「被写界深度が浅い」という。この範囲はセンサーサイズやカメラのレンズの絞りによって変わってくる。撮影の時はセンサーサイズは変えられないので絞りで調整する。開放では「浅く」絞れば「深く」なる。

一般に「浅い」と背景がボケて写す対象、人物でも花でもそれが引き立って見えるので、プロっぽく見える。また開放f値が小さいレンズは値段が高いので、ガンバッテ買った高いレンズで背景がボケるとそれだけでうれしい人も多い。まあ気持ちはわかる。

例えばキヤノンのレンズで50mm、f1.8なら3万円くらいだがf1.2だと15万円くらいと5倍も値段が違う。もちろん値段の差は開放f値のみが理由ではないが、5倍も高いレンズをガンバッテ買った人はパンフォーカスなんて頭に浮かばないというものだ。まあいいけど。

さて、私と娘があれこれ撮影しているとき、カミさんはヨコでのんびり桜を眺めていた。この際、カミさんが一番時間の使い方がよい。

さて、カメラはオリンパスのEM-1IIでレンズはフォーサーズの50ミリマクロ。

f2.0

f3.5

f5.6

f9.0

f14.0

さてさて、スペック偏重のカメラオタクは絞りを9.0以上に絞ると解像度が低下するなどと言っておるがあまり気にする必要はない。14まで絞ると結構ピントの合う範囲が広い。このくらいも良かろうと思う。安いレンズであまりボケを気にせず撮るのもいいということだ。

f2.0


f3.5


f4.5


f5.6


f9.0


f14.0

2枚目、こういう構図はf2.0がいい。フォーサーズはボケないがまあこれくらいでもよいだろう。
フォーサーズは単焦点でまあまあ明るい安いレンズに力を入れるべきなのだろうと思う。
さえないジャンバー着てつまらない顔して高級カメラで下手っぴな写真を撮っているおっさんのヨコで、軽い軽いフォーサーズでセンスある写真をパシパシ撮るのが良かろうと思う。

まあ、かく言う私も今日は実験とはいえ、つまらない写真を撮ったものだ。




2024年4月1日月曜日

江ノ島

 お弁当を作ってロマンスカーで江ノ島へ出かけた。天気も良く3月としては記録的に気温が高い日で日差しも強かった。砂浜にレジャーシートを広げ、持って行ったお弁当を食べながら海を眺めた。カミさんと娘が波打ち際を散歩している間、私は1時間半くらい昼寝をした。その後再びロマンスカーに乗って帰ってきた。

今回300ミリの望遠レンズを持って行った。換算600ミリ相当、これに2倍のテレコンを付けて1200ミリで写真を撮ってみた。

E-M1-II M300 F4.0 + MC-20、f/8 1/800 ISO200


少し離れたところに小鷺がいた。波打ち際で小魚を捕まえて食べていた。30メートルくらいまで寄って写真を撮ってみた。私はあまり鳥の写真は撮らない、鳥の目が苦手だから。でもまあ、たまにはいいかな。
E-M1-II M300 F4.0 + MC-20、f/8 1/800 ISO200





E-M1-II M300 F4.0 + MC-20、f/8 1/640 ISO200



やっぱりこの目がこわい。

さて、帰ってからカメラの掃除。

掃除にはアルコールのウェットティッシュとキムワイプを使う。実はアルコールタイプのウェットティッシュはカメラの掃除にはあまり良くない。アルコールはラバーを痛めるから。
でもラバーがペタペタするのが大嫌いなので今日はアルコールウェットティッシュを使った。
本当はラバー部分は45度くらいのお湯で洗って固く絞った手ぬぐいで丁寧に拭く方がいい。そのあと風通しの良いところでよく乾燥させる。プラスチックや金属部分はキムワイプで拭く。ペタペタするようならここも固く絞った手ぬぐいやハンドタオルで拭く。そしてよく乾かす。
レンズは保護フィルターを付けているので、保護フィルターはティッシュで拭いた。フジのレンズクリーニング液をつけてもいいが、今日はティッシュで十分だった。

さて、ポートレートの写真集制作のための1次プリントが終わった。全部で320枚ほどになった。追加プリントも100枚を超え、少しお金も余計にかかったが仕方がない。

ポートレート写真のプリント、全部で320枚ちょっと。A4のファイル6冊になった。


当初モノクロとカラーはファイルを分けようと思っていたが、一緒にした。
もともとはカラー写真として撮影した写真とモノクロ前提でカラーで撮影した写真があるので、分けられると考えていたのだが、カラー用で撮影した写真でモノクロにしてみたらその方が良かった写真も、反対にモノクロのつもりだったがカラーの方がよいものもあったりで、それなら分けるのをやめて、いろいろやってみよう、となったからだ。こういうところまだまだ修行が足りないなと正直思う。デザインでも写真でもやってみなければわからないことが多すぎるように感じる。それではダメだ。うーん。
少し仕事が忙しくなってきたので、少しお休み。つづきは4月末頃かな。プリントした写真をテーブルに並べて選ぶ作業。楽しみである。

さて、今日はもう少し普段撮りの写真を。
1枚は娘の買い物に付き合って中野のブロードウェーに行ったとき写したもの。
中野ブロードウェーは2階の窓やバルコニーが飾りで付いている。実用性はなし、ただの飾り。この手法はディズニーランドのガレリアと同じ。つまりハリボテ。

もう1枚は大手町の古いオフィスビルの内部。
先日打合せに行ったとき写したもの。このビル、耐震補強はしていないので新耐震以降だがかなり古い感じなのでおそらく昭和58年頃の建物だと思う。こういう古いビルは大好きである。
ディスニーランドの銀紙とボール紙でできたファサード建築より、こっちが好き。

丁寧な左官仕上げとテラゾタイルがいい味を出している。
おそらく後から取り付けたであろう階段の金属手すりもなかなか良い。この手すりなどリニューアルもなかなかわかっている人がデザインしている。こういうもののよくわかったデザイン、最近はかなり少ない。


2024年3月20日水曜日

女性ポートレートのレタッチ

前々回、 前回、と標準的な女性ポートレート、スナップの現像とレタッチについて解説した。もちろんこの2回で現像での調整項目すべてを説明できたとは思っていないしレタッチの方も同様である。

その他の調整、レタッチ手法はその説明にふさわしい題材があるときに少しずつ説明していこう。

今日は女性ポートレートでお化粧をしているモデルの顔と身体の色合わせについて説明する。つまりファウンデーションを塗った顔と塗っていない身体との連続が不自然にならないよう調整する方法についてである。

方法はいくつかあり、最も一般的なのはまず顔または身体が自然に見えるよう画像全体の露出や色温度を調整したあと、追加調整が必要な部分を選択範囲を作り調整レイヤーなどで補正する方法だろう。この場合の調整レイヤーは色調補正1つで済むこともあれば、色調と明るさを行う必要があることもある。ただし選択範囲は色補正も明るさの調整も基本的に同じものが使えることが多いのでレイヤーが増えても作業時間はそれほど増えない。また、色調と明るさが別の調整レイヤーになっていれば、後で個別に微調整することもできる。

この方法が面白味に欠けるというわけではないのだが、今日はちょっと違った方法を紹介しよう。RAW現像の際、顔を自然に調整したものと、身体を調整したもの、同一RAWから2枚の画像を作成し、この2枚を1つの画像に合成する方法である。この方法の良い点はRAW現像でそれぞれいい感じの画像をつくるので、顔と身体を同じように作業することができるところだ。良い例えではないが、ピザを作るときマルゲリータとペパロニを半々にしたいとき、前述の方法はいったんマルゲリータを1枚作って、そこからバジルを取り除いて別でグリルしたペパロニをのせるようなものだが、後述の方法は、マルゲリータ1枚とペパロニ1枚作っておいて半分ずつ食べるような感じである。後述の方がペパロニは美味い。また直感的だし分かりやすくもある。必ずしも後述の方法が常に良いという意味でではないが方法を覚えておくのは良いだろう。画像に応じて使い分ければ良い。ただし、後述の方法は簡単そうだが押さえておくポイントもいくつかある。順を追って説明する。

撮影データをCameraRAWで開いたところ


まずはRAW現像から。今回使うのはこの画像。例によって当時白飛びを恐れてアンダーで撮影、全体がくすんでいる。ではいつものようにAdobe photoshopプラグインCamera RAWを起動する。まずは1枚目、顔を自然に見えるよう調整する。

顔が自然に見えるよう現像


このときは顔しか見ない。原則として他の部分の色味などは全く気にせず調整する。身体など色味をこれとはちがった調整をする部分は別データを作りそちらを使うからだ。

まあ今回の写真では、このままでも全体感はあまり問題ないレベルである。これでおしまい、とするのも間違いとは言えない。だがよく見れば顔と身体で色味が微妙に異なっている。あまり厚化粧ではないが顔に塗ったファウンデーションのせいだろう。肩や胸元腕など、顔に比べ色味がわずかにグリーンに寄っているように見える。また明るさも微妙に異なる。そして写真編集ではこのような微妙な調整が大切で、きちんと調整すれば、わずかだが着実にクオリティが上がる、私は、そういう編集を心がけることが大切だと常々感じている。

さて、このときポイント1。顔を調整したところでRAWデータをDNGで保存しておく。




顔の設定のRAWデータをDNGで保存


CameraRAWはパラメータを調整して「開く」とその設定内容が保存される。つまり次回そのRAWデータを開いたときは一からやり直す必要はなく、前回の設定を必要な部分だけ変更することができる。これはとても便利な機能で、これなしではRAW現像なんてやっていられない、と言えるほどである。一度現像し書き出した後、やはりもう少し色温度をとか、露出をとか、ハイライトをとか、ノイズレダクションを、などと再調整することは実に多い。そのたびにまた1から調整をやり直しなんて絶対無理である。前回調整したパラメータなんてもちろん覚えていない。だから前回の調整状態で開いてくれるのはたいへんありがたいのである。だがここで新たに「身体」に合わせて再調整をすると、「顔」の設定は上書きされて消えてしまう。それは困る。後ほど顔を再現像することもあるからだ。そこで顔の設定ができたところでRAWをDNGでも保存しておく。DNGというのはRAWデータの汎用フォーマットでメーカーの種別なく用いることができる。もともとすべてのカメラメーカーに向けた汎用記録方式を目指して作られたフォーマットだが、カメラメーカーは独自フォーマットへのこだわりが強く、DNGはあまり普及しなかった。このあたり日本で液晶テレビ黄金期から衰退への道筋に似た、つまりデジタルカメラ王国日本の衰退の匂いがするのだが、多分気のせいだろう。まあいい。

さて、そんなDNGフォーマットだが、実際に便利だし、現像にCameraRAWを使う限りは問題ない。また元のRAWデータも残してあるのだから。

さて次、2枚目。今度は身体を先ほど現像した顔に合わせて色調整しながら現像する。ここでポイントその2は先ほど現像が終わった画像の顔の部分(Photoshop)を隣に置いておき、見比べながら作業すること。

Photoshopの画像を下に置いて見比べる



左は見比べ用のPhotoshop画像で顔の部分を見えるように置いてある。そして右側がCameraRAWのウィンドウ、顔に合わせて「身体」の色合わせをする。終わったら開く。これで1つのRAWデータから2つのPhotoshop データが作られたことになる。

現像の終わった2つのデータ、上が顔、下が身体用のデータ



そして上の画像から顔と背景、下の画像から身体部分を使い1つの画像にまとめる。
顔の画像を底にして、身体のデータを全体選択しコピペで顔の方のデータにに貼り付ける。身体の画像は新しいレイヤーとなる。

背景に顔用、レイヤー1に身体用画像



レイヤー1(身体の方)にレイヤーマスクを作成する。レイヤーマスクのマスク色はいったん黒とする。これでレイヤー1はマスクによって隠された状態となった。

レイヤー1のマスクが黒、つまりレイヤー1は非表示となっている



そしてこのレイヤー1のマスクをブラシツールで白く塗り、部分的に表示させる。レイヤーマスクは黒の部分は非表示、白の部分は表示である。グレーは半透明となる。グレーはその濃さによって透明度が変わる。
ここでポイントその3、ブラシツールは必ずエッジをぼかし、不透明度は50%以下で重ね塗りをして表示される部分を徐々に増やしていく。何度も塗ったところはどんどん白さを増し、つまり見えるようになってくる。やり過ぎたと感じたらブラシ色を黒にして戻していくこともできる。このあたりは論より実践で、何度かやっているうちに要領がわかってくる。顔と身体がいい感じで合成できた。

次に腕の部分が少し暗いので、レイヤー1をコピーして一旦レイヤーマスクを白に戻し、つまり完全に見える状態にして、CameraRAWフィルターで腕の部分のみ見ながら露光量を調整する。かなり全体は白っぽく飛ぶが気にしない。調整が終わったらレイヤーマスク全体を黒くし先ほどと同じようにブラシ(白)で腕の部分を塗り、見せる範囲と量を調整する。この部分、3枚目のRAW現像を用意してもよいが、画像のほんの一部なのでレイヤーをコピーしCameraRAWフィルターを使った。

顔と身体、そして腕の調整が終わった画像、ただしレイヤーが3つ



合成が完了した。ここでレイヤーを結合してしまっても良いが、プリントの後で各レイヤーを微調整したくなる場合もある。なので各レイヤーは残しておいた方がよい。何らかの理由で結合したレイヤーが必要な場合は、ポイントその4、新規レイヤーを作り、optionキーを押しながら「表示レイヤーの結合」をすると元のレイヤーを残した状態で、今作った新規レイヤーに結合された画像が作成される。

新規のレイヤーに結合された画像が作られる



あとからわかるようにこの新規レイヤーの名前を変えておく。
このレイヤーの画像をコピーしてソフト処理をするのもいいだろう。今回はソフト処理はなしで仕上げた。以上で作業は終了である。いろいろ面倒そうに見えるが、全体で15分程度の作業時間である。要は慣れである。

上半分が顔のみに合わせて現像、下が別々に調整したものの合成



かなり微妙な違いだが、冒頭で述べたとおりこの差がとても大切なのである。

完成画像







2024年3月13日水曜日

ポートレート写真の現像とレタッチ 後編

 前回、少し古い撮影データを例に、Adobe PhotoshopプラグインCameraRAWを使ったRAW現像について説明した。今回はRAW現像の終わった画像をPhotoshop でレタッチを行う。

下の画像はRAW現像が終わりPhotoshop に引き渡した状態。以前ここにも書いたが、どこまでRAW現像でやってどこからPhotoshopで作業するか、明確な線引きはない。もちろんRAW現像でしかできないこともあるし、Photoshopでしかできないこともある。問題はどちらでもできることをどうするか、である。結論から言うと、画像全体を調整する露出補正、ホワイトバランス調整、ノイズ除去までは確実にRAW現像で行った方がよい。前回説明した「強化」もそうだ。ただし「強化」はそもそもPhotoshopではできない機能なので論じるまでもないが。逆にPhotoshopでは選択範囲を使って画像の一部に補正を加えることや画像の一部に映り込んだ不要なものを消したりするのに適している。この選択範囲を作っての作業はそもそもPhotoshop でしかできない。またPhotoshopにはCameraRAWの一部の機能をフィルターとして使うことができるようになった。だが、すでにレタッチをある程度終えた画像でわずかな調整をするにはよいが、CameraRAWで追い込まずあとでPhotoshop でやればいい、とは考えない方がよい。CameraRAWはその名の通りRAWデータを編集するので画像劣化は最小限だが、PhotoshopのCameraRAWフィルターはだいたい同じことができるが画像劣化がCameraRAWより大きい。あまり神経質になるほどの差ではないが、かなりアンダーな画像を大きく持ち上げるような場合はそれなりの差が生じる。できる限りCameraRAWでやっておりたほうが良いと覚えておくとよいだろう。


CameraRAWでの現像が終わりPhotoshopに引き渡した画像

ではレタッチをはじめる。今回は背景のうるさい部分の修正とモデルの胸元の布地の端を修正する。はじめに背景、右下の雑物を消す。正確にはトーンを落とし目立たなくする。レタッチで最も大切なことは選択範囲を作ること。例えばこの写真のように写真の一部の階調を調整するような場合、その作業に仮に3分かかったとすると、そのうち9割近くつまり2分半くらいは選択範囲の作成に費やされる。特にこの写真のような修正する部分が被写体に隣接する場合は選択範囲の作成は難易度が高い。選択範囲はかならず境界線をある程度ぼかした形で用いられる。そうでないとパッチワークのようにレタッチ部分のエッジが目立ち不自然なものになる。そしてその選択範囲の境界線が人と接する部分と接しない部分とでぼかし幅を変える必要があることが多い。変える必要が無ければ「なげ縄ツール」で選んだ選択範囲を「選択範囲の境界をぼかす」コマンドでぼかし2ピクセルとか5ピクセルとかかければよいので楽だがよりよい補正にはこのぼかし具合が大切だ。そして選択範囲の一部の境界のぼかしを変えるのは少し手間がかかる。やり方はいろいろあるが、プロセスが可視化されわかりやすい方法は一旦、ぼかし幅の少ないところの数値で選択範囲全体のエッジをぼかし、これをアルファチャンネルで保存し、アルファチャンネルを表示して必要な部分にさらにぼかし幅を増やす方法である。これだとどの部分にどの程度ぼかしがかかっているかアルファチャンネルの表示で確認できるのでわかりやすい。また、ある程度慣れてくれば別の方法もある。例えば人物との境界は2ピクセル、その他は5ピクセルのぼかしをするのであれば、人物の部分は境界を狙わず、あえて少し広めに選択し、その他の部分は正確に選択範囲を選ぶ。なげ縄ツールを使う。選択範囲のエッジを5ピクセルのぼかしを設定して作るところがポイント。そして今度はエッジのぼかしを2ピクセルに変更し、投げ縄ツールでoptionを押しながら選択範囲、この写真の場合はモデルの腕の部分を引き算する。全体は5ピクセルのぼかし、引き算したところだけ2ピクセルのぼかしとなる。こういう小技はPhotoshopでは結構多い。

さて、選択範囲ができたら調整レイヤーでトーンカーブを選びこの部分のハイライト側をどっさり下げて目立たなくする。

背景の雑物を選択する


トーンカーブ補正で目立たなくする

このとき、画像を直接補正せずに調整レイヤーを使う。調整レイヤーはあとから微調整や場合によっては補正そのものを取りやめることができる。特にこういう階調の調整は後から必ずと言ってよいほど再微調整が発生するので、調整レイヤーを使うことが大前提となる。

次は同じく背景右上の左側の背景を調整する。まずはモデルの腕の際をスタンプツールやなげ縄ツールなどを使ってコピペしながら修正する。

修正部分のクローズアップ(画面左端)

次に残った背景部分をこれもなげ縄ツールで選んで、コンテンツに応じた塗りつぶしで修正する。初めからこのエリアを腕の際から背景までを選んでコンテンツに応じた・・・を使ってもたいていうまくいかない。こういうところは丁寧に修正するしかない。

最後にに布地の胸元の修正を行う。こういう部分は丁寧に修正を行えばほとんどの場合、あとからパラメータを変えたり取りやめにしたりはしない。だから直接編集でかまわない。もしあとからやめる可能性があるような場合はその部分をなげ縄ツールでざっくり選択し、コピーを別レイヤーに作って編集することもあるが、今回はその説明は省く。なげ縄ツールで選んだ後、選択範囲の境界を少しだけぼかす。そして修正をかける。選択範囲のぼかしが原因でうまくいかない時はぼかす前までアンドゥでもどってぼかし範囲を変更し修正する。これを何度か繰り返せばかならず自然に見えるような修正が可能だ。

選択範囲の境界をぼかす

修正はコンテンツに応じた塗りつぶしを使えばよいだろう。ただし参照範囲は肌の部分のみでしておく。このあたりは簡単なので何度かトライすればすぐに使えるようになるだろう。

最後に写真をすこし柔らかくするために少しだけソフトをかける。基本的なやり方は背景レイヤーのコピーを2つ作りそれぞれに、ぼかし-ガウスを15〜30ピクセルくらいかける。コピーした新しいレイヤーの合成モードを「スクリーン」と「乗算」に変更する。




まずはレイヤーをコピーする。分かりやすいように名前を変えておく


合成モードを変更する


コピーしたそれぞれのレイヤーにぼかしをかける


すると画像はこうなる


さすがにこれではボヤボヤでダメである。だが心配はいらない。レイヤーの透明度を調整して柔らかさを調整する。
通常不透明度10〜30%程度だろう。
透明度を変更しいい感じになるよう微調整する


これでレタッチは終了、保存する。保存は必ずPSD形式とする。

データの保存、完了

完成写真


ぼかしによる柔らかさはこの程度で良い。よーく見ないとわからない程度だ。フォトレタッチではこの微妙さが大切だ。やたらといじくり回し、その量も中華料理屋のお玉で味の素ドバッとみたいな編集は絶対やめた方がいい。元の写真を別の写真にするのではなく、元の写真の良さを引き出すような編集を心がける。
編集にかかった時間は、ブログのためのスクリーンショットを撮りながらで22分だった。スクショのタイムスタンプで確認した。なのでスクショ無しでフツーに編集するだけなら15分もあれば十分だろう。ちなみにRAW現像の方は同じくスクショのタイムスタンプで9分くらい。こちらはパラメータをいじるだけなのでフツーに作業すれば5分とかからないだろう。
また、ソフト処理はアクションを設定しておけばとても楽になる。解像度と被写体の大きさに応じてぼかし具合を3種類くらい用意しておけばよいだろう。アクションを使えばぼかし処理にかかる3分を3秒に短縮できる。

すべての作業が終わったらプリントして乾燥させる。そして他の写真同様精査して写真集用に使うかどうかを決定する。