2025年3月20日木曜日

ファクシミリ付き電話機を買う

 4月から新しく取引開始する会社と受発注の件で打合せに行ってきた。受発注システムは自動でFAXを送信するので受信したら記入して送り返すことになるらしい。今どきFAX?などと言ってはいけない、この手の仕組み作りにはすごく費用がかかるので、いったんできあがった仕組みを変えるのはよほど重大な理由がないとやらない方がいいからだ。

特に安易にコンピューターソフトによるシステムを作ろうものならサラリーマンの年収の何倍もの費用をソフト会社に払うことになる。さらにOSのアップデートとサポート終了に伴うソフトウェアの更新にも多大な費用がかかる。

以前働いていた会社で私はファイルメーカーというソフトを使って自分の事業部の売上管理やら外注費支払い管理のプログラムを作って使っていた。使うたびに時間があると少しずつ改善してみんな結構便利に使っていた。会社の他の事業部はマイクロソフトエクセルで毎回作っていて、あほらし、と感じてファイルメーカーで作ったのだが、自分で言うのも何だが必要な作業時間が5分の1から10分の1くらいになった。ただしソフトのバージョンアップは面倒なのでしなかった。

その後会社のメインの売上管理システムをソフト屋さんに依頼してファイルメーカーベースにするという話を聞いた。別にどうでもよかったが、なぜか私の部にも影響が出て、これを機にソフトをバージョンアップせよとのお達しがきたのである。面倒なのでその会社にやってもらったら?とテキトーに答えておいた。そしたら見積りが来たらしい。いくら?ときいたらコンバージョンだけで結構な費用で(確か40万円くらいだった)、それでバージョンアップに伴う不具合の修正はしない、というから驚いた。へ?じゃあ仕方がないから自分でやるかな、と言って最新版に変換した。ほとんど不具合はなかたったが多少調整は必要だった。これ全部合わせて半日もかからなかった。ちなみに調整が半日でコンバージョンは10分で終わった。いや、正確には3分くらいだったと思う。3分40万円かぁ、でもべつにそのソフト会社を悪くは思っていない。ソフト関連ではよくよくある話だからだ。

だから新規の取引先で古いFAXによる発注と聞いたときに、どちらかというと良い会社だなぁとすら感じたのが正直なところだ。

そんな訳でFAXである。でもウチにはFAXはない。以前業務用のFAX機を持っていたが、全く使わなくなり処分してしまった。仕方がない、購入することにした。FAXはほかにWEBによるPDF変換してメールで送ってくれるサービスなんかもあるらしいが、仕事で相手がある話でそんなサービスは使いたくない。セキュリティの保証がないか、あってもこちらできちんと確認するスキルもヒマもないからだ。そんな面倒なことするくらいだったらFAX機能付き電話機を買うほうが安いし楽というものだ。そのFAXも使うのはおそらく月に1度か2度かその程度だろう。受けたFAXも送ったFAXもスキャンして電子データで保存しておくので、シンプルで安い機械でいい。そんなわけで、価格ドットコムで調べてみたのだが、安いものはほとんど1種類しかなく、それを買うことにした。パナソニックの3万円くらいだったかな家庭用ファックス機能付き電話機、ヨドバシに注文したらすぐに届いた。

他に選択肢はないし、FAX機能付き電話機なんてどれも似たようなものなのでしかたがない。とりあえず開封してサイドデスクの上に置いてみた。

FAX機能付き電話機



うーん。必要なものだから仕方がないとは言え、これは絶対目の届くところには置きたくない。私の書斎には絶対合わない。すごく浮く。このFAX機能付き電話機、用紙をセットしていつでも受信できるようにしておく必要はあるので、他の機器のように使うときだけセットして・・・という置き方はできない。
用紙をセットすると高さは35センチほど必要で、用紙を排出するスペースとして前面にA4サイズの奥行き、トータルで機械の奥行き+30センチ程度=50センチ強必要ということになる。もう少し真剣に考えるべきだったかもしれない、と後悔しても始まらない。どこか目立たない「ほら穴」のようなスペースを見つけて、そこに置くしかないのかも。

何はともあれ動作確認、とも思ったがぜーんぜんやる気にならず、そのまま置いてある。

このファクシミリ付き電話機、コードレスの子機も付いていたが開封せず袋に入れたままダンボールに放り込んだ。

話は変わるが私は今の新築住宅や共同住宅(日本でマンションと呼ばれているもの)のあのビニールクロスの天井、壁が好きになれない。だからウチではビニールクロスはトイレと脱衣室くらいしか使っていない。壁は漆喰がいい。古くなった木部が古色を帯びてくるのも好きだ。だがあのビニールクロスというものは家が完成したときが一番良く、何年経っても味など出てこない。薄汚れてみっともなくなるだけだ。そうするとまた貼り替えるのである。それでしばらくはキレイ、そしてまた薄汚れてくるのくり返し。だが漆喰や木はちがう。ヨゴレや傷が味になる。どちらがよいかは考えるまでもないように思うのだが。また住宅の天井にデカい蛍光灯(今はLED照明)というのも嫌いだ、ビニールクロス+天井照明だともう全く落ち着かない。この真っ白なプラスチックのFAX機能付き電話機はそれに通ずる何か違和感がして生理的に受け付けないのである。

独立して、自分の気に入ったものだけ身の回りに置いて、楽しく仕事をするぞー、というのもこんなFAX機能付き電話機1台で台無しになってしまうものなのだなぁ。と諸行無常を感じる1日だった。






2025年3月13日木曜日

デスクまわりの「ちょい置き」その後

 前々回だったか、仕事をしているとどうしてもデスクまわりに「ちょい置き」があり、これが仕事場所が散らかる元凶になっている。だからちょい置きは極力やめにして、どうしても必要な分は、つまり避けられないものは「ちょい置きスペース」を作り、そこだけに置くことにする、と書いた。

その後、ちょい置きスペースも木製のトレーを2つほど作った。以来届いた郵便物や参考の冊子などはこの「ちょい置きスペース」を活用している。

いまのところうまくいっているように感じている。今日は仕事で水彩画を描いているが、絵の具が乾くまでの間にデスクまわりのチェックをした。

コンピューターの作業机は特に問題ないのでサイドデスクと作業机だけチェックする。以前も書いたがこの写真を撮るときには一切手を加えず、ありのままを撮るのがルールである。片付けたのでは意味がないからだ。まずはサイドデスク。

サイドデスク


ここは問題ない。書類が置いてあるが、やりかけの仕事で必要な書類なのでこれらはよい。

次に作業机


作業机



ここも問題ない、描いている水彩画の道具だけである。少しモニター前が散らかっているが、これくらいはよいだろう。ちょい置きスペースにもあれこれ置いてある。つまりちゃんと使っている。よしよし。描いているのは鹿の絵、カタログに使う水彩画に鹿を入れてほしいという要望があったので鹿を描いている。カタログの挿絵の場合、芸術作品ではないので、鹿だけ描いてスキャン後画像合成で入れる。だから元の水彩画には手を入れず、鹿だけの絵を描いている。下図を描いて水彩画に仕上げてでだいたい20分くらいだろうか、もっと短いな、多分。だが描いては乾かし、また描いては乾かしなのでそういう意味では30分以上かかる。乾くのを待っている間にこれを書いている。

以前は3Dの計算中に水彩画を描いたりしていたが、最近のコンピューターはスピードが速いので計算時間はとても短い。ちょっとしたカットならウチのM1ultraのMac Studioなら数分で計算は終わる。だから思考が分散しないように3Dは3D、水彩画は水彩画とすることが多い。ときどき1時間くらい計算にかかるものもあるが、そんな時は計算中に別の仕事をすることもあるが、最近は少ない。

さて、鹿も描き終わったので乾くのを待ってスキャンニングである。乾くまでもう10分くらいだろう。ついでに撮った本棚の写真


本棚とアンプ、プリンター置き場



ここも問題ない。ちょっと気になるのがこのアンプやプリンターの下に置いてあるプリント用紙や大型の孔あけパンチや中綴じ用のこれまたデカいステープラーである。かなり大きいので他に置く場所がないのだが、そのうちなんとかしたい。

さて、鹿の絵だが合成したが納得いかず結局すべて描き直すことにした。やれやれ。


描き直した絵



これは透明水彩を描いている人には常識かもしれないが、透明水彩のパレットはめったに洗わない。それぞれの小窓にバランス良く絵の具をチューブから出しておき、これに水を含んだ絵筆でなでて筆についた絵の具を広い場所で他に色と少し混ぜて色を作ってそれで絵を描く。透明水彩は乾燥してカチカチになっても水を加えればまた溶ける。だから毎回チューブから出して塗る必要はない。実に経済的だし、描きたいなとおもったらすぐに描けるのがいい。

ちなみにアクリルガッシュは同じ水性だがこういう使い方はできない。乾くとカチカチになり水を加えても二度と溶けない。だから梅皿も使い終わったらすぐに洗わないと使えなくなってしまう。アクリルガッシュは水性ペンキとほぼ同じように思われる。

もう一つ、エアブラシで使うラッカー、これも塗装が完全に乾燥してもラッカーを付けた布地などで少しこすると溶けて取れる。だから部分的に失敗しても先の尖ったタイプの綿棒で塗装を剥がし、再度エアブラシを吹くことができる。平らな面の場合はラッカー補修よりは目の細かいサンドペーパーまたはスポンジヤスリで軽くコシコシと塗装を落としエアブラシを吹く。エアブラシはオタク文化なので、いろいろ細かいこだわりを持っている人が多いので、こんなこと書くと「わかってないなぁ」なんて言い出す人がいるので、まあこのくらいで。

私は透明水彩が好きだが芸術的な絵が描けるほどの腕はない。だがときどき描く。3D-CGやイラストレーターとはちがった味があり、それが最適な場合があるからだ。だがまだまだうまく描けないので時々YouTubeなどの動画で勉強している。今は猛烈に忙しいのでそんな時間はないが、4月に入って少し落ち着いたらまた練習再開である。

思えば仕事の上での私のスキルはどれもまだまだで、世の中には上には上がいる。それは痛いほどよくわかっている。ではどうして私のところに仕事の依頼をいただけるのかというとそれには理由がある。と少なくとも自分ではそう思っている。例えばグラフィックデザイナーなんて世の中に掃いて捨てるほどたくさんいる。だからわかりやすいチラシのデザインなどは価格競争となることが多い。こういうやり方でこんな風に、でいくらで?となる。デザイナーAさんが10万円でデザイナーBさんが7万円だったらBさんの仕事になる。食い詰めデザイナーのCさんが5万円といえばCさんが時間単価1000円以下で取ることもある。仕事なくて遊んでいるより安くてもいいから、という理由で受ける。だからデザイナーはそういう仕事を生業にするのは大変厳しい。別の言い方をすれば長続きしない。こんなことやっているよりスーパーのレジ打ちの方が時給がいい、なんてことになるからだ。ソフトのスキルがあってデザインセンスもそこそこあってもそうなってしまう。

私の仕事は、建設系のカタログなどのデザインが多い。そしてダメ元で必ず提案を入れる。その提案は却下になることも多い。お客もいろいろで、言った通りでないと気に入らない人もいる。だが提案を真面目に検討してくれる人もいる。

お客は、たいてい「ウリ」を特長として列挙してくる、当然だ。だがそれが7つも8つもある場合、読み手はウンザリしてしまい、まず読んでくれない。だからこういう風に絞ってこれとこれはこういう風に表現してはどうでしょうか、と提案する。そのためにはこちらが技術をきちんと理解する必要がある。そうでないとそもそも提案など絶対できない。ちょっと文章が多いので少なくできませんか?なんて抽象的なこと言ってもなかなか動いてくれない。具体的にこういうのいかがしょうか、と提案できて初めて検討してもらえる。当然お客から提供される資料も理解する必要がある。図面が読めて技術資料の内容と照合しながら提案を考える。図面に関しては間違いを見つけて指摘できるくらいまでしっかり読む。

例えば今制作中の製品のカタログでは、基礎に特長があって通常製品ではコンクリートを使って大きな基礎を作ることが必要なのだが、この製品はコンクリート基礎無しで転倒モーメントに耐えられる構造になっている。お客さんは「コンクリート基礎が不要です」という説明書きを加えることを考えている。だが私は「どうしてコンクリート基礎無しでこれだけの応力に耐えられるのか」を説明する絵があった方がいいだろうと考え、それを提案する。

幸い私はお客に恵まれていて、黙って言ったとおりに作ってくれ、というお客はまずいない。いや以前はいたがそういう人は全部自分で原稿を作って、あとは印刷さんのデザイナーに安くキレイに仕上げてもらった方がよいので、私との関係は長続きしないということかもしれない。だが完成したカタログなどを見比べれば差は一目瞭然なので私への依頼は減らない。自慢ぽく聞こえるかもしれないが、これが実に大事なことなのであえて言わせてもらいたい。

つまり、デザインできます、イラレ使えます、ではまず食っていけないのである。中にはすごいイラストを描く人もいて、それで仕事もいっぱいあって、というのはあるだろうが、そこを目指すのは茨の道である。

もちろん技術を理解するのも常に学習が必要で、それはそれで大変だ。だが学習した分だけ確実に知識が増える。それの積み重ねでお客さんと充実したコミュニケーションが可能にもなる。そしてそこからアイデアも自ずと沸いてくる。あとはそれをどう表現するかだ。表現手法の提案があってはじめて説得力も出てくるというものだ。だから私は3D-CGもIllustratorも水彩画も使う。そのスキルは高ければ高いほどいいのは間違いないが、限られた時間のなかで、全部をナンバーワンを目指すのは無謀である。だがひとつだけに注力しすぎるのもよくない。それほどシビアに考える必要はないが、自分を斜め上方から眺めるようにバランスを取ることが肝要だ。

また、現状に満足して歩みを止めたらおしまいなので、いくつになっても学習とスキルアップは続けていく。

学習とスキルアップが楽しくて仕事をしているようなものである。





2025年3月6日木曜日

浦壮一郎著「サカナと水辺と森と希望」を読む

浦壮一郎著「サカナと水辺と森と希望」

これは今読んでいる、と言っても読み終わってもう一度おさらいしているというのが正確なところだが、その本の紹介。よい本だったので。



副題に「なぜ、魚はいなくなったのか」とあり出版社は「つり人社」、つまりどう見ても釣りが趣味の人に向けて書かれた本のように見える。それは正しいのだが、本書はそれだけにとどまらない、そしてそのとどまらない部分がとてもよかった。そもそも私は釣りはしない。小学生の頃ごはん粒を餌にフナを釣ったくらいしか釣りの経験はない。だから魚釣りと環境問題みたいなハナシばかりだったら正直イヤだななどと考えていた。ではどうしてこの本を読むことになったかといえば今仕事をしているクライアントが土石流などの水害対策の商品を扱っていて、カタログを作る際、今の治水を理解する上でこの本を読むことを薦めてくれたからだ。

構成は4章から成るが、1、2章では川魚、主にイワナやヤマメの生態とそれらが生育する環境について、そしてその環境の現在を問題点と解決にむけてを実例とともに丁寧に解説されている。

3、4章は川に治水を目的に作られたダムなどの構造物のもたらす影響とそれらが生態系へ大きな影響を与えていることと、主目的の治水上の効果へもおおいに疑問があることなどを検証している。

本全体を通して一貫しているのは、今までこの方法が良いと信じられてきたことがそうでもない、いやむしろ悪い影響を与えていることもある。というもので、これが非常に興味深かった。

魚が減ってきているので稚魚を放流しましょう→効果は限定的でかなり効率が悪くさらに悪影響を与えているものすらある。

ダムは魚にはかわいそうだが洪水を防ぐには有効→洪水抑制能力は考えられているよりかなり低く災害はむしろ増えている。

などなど

そして本書のよいところは、「だからやめるべき」といったアンチ宣言を声高に叫んで終わるのではなく、ではこれらに代わって、またはこれらに加えて。またはこれらをこういう風に改善して、と代替えや改良案がきちんと示されているところだ。しかもその内容が淡々と冷静にそして多角的に分析され理論的に述べられている点がよい。いろいろ事情があってすぐにできないものは段階的にこうした方が良いみたいな書き方をしているところもある。行政が推し進める国土強靱化にもいろいろ問題があって、まかせておけばいい、ではなく、みんなでそのこともっと考えて未来につなげましょうという内容になっている。それが本書のタイトルの「希望」の部分でもある。

また本書の後半で何度も紹介されている書籍「洪水と水害をとらえなおす」大熊孝著も気になったので購入し読んでみた。これもなかなか読み応えのある良書だが、学術的な記述も多く、すこしむずかしい部分もあった。内容を要約すると、近代以降のダムをはじめとする産業技術による治水には限界があり、日本中至る所で水害が発生し、その数も減っていない。洪水を完全に止める防災から洪水が発生しても人命や家屋などの被害を減らす防災への変換が必要、というものである。つまり「何が何でもあふれさせない」ではなく、「あふれても深刻な被害にならない」への変換である。だが行政はこういうのには前向きでないとも述べられている。それもうなずける。

ここからは話が変わるが、両書を読み読み思い出したことがある。防災とは関係ないが、以前バリアフリーが今のようになる前、つまりこれからいろいろやっていきましょうという時期に、産官学で情報発信を切り口に研究活動をおこなうワークショップがあった。私もなぜかそのメンバーに入り会議に参加した訳だが、国土交通省の役人、大学の教授、大手電機メーカーの人が集まり、会議はなかなか前に進まなかった。特に行政と学者の求めるものがなかなかかみ合わない。行政はもうすぐ始まるのだから2、3年のスパンで考えようとするのに対し、学者は来るべき未来にあるべき姿、と譲らない。だから具体論にさえなかなか入ることができず、電機メーカーも口の出しようがない、という状況だった。行政は現実主義、学者は理想主義などと言うつもりはまったくないし、事実そう単純ではない。ただしフィールドが異なると考え方が大きく異なるものだなぁ、と感じた。そこでちょっとひねったアイデアを出して両方まあ100%ではないにせよ賛同していただき、うまくまとめることができたのでよかったのだが、こういう行政と学者問題はおそらく至る所にあって、これらをうまく何らかのストリームにもっていくというのはある意味すごく重要なことかもしれないと感じたものだった。

治水に関しても、ダムに固執する役人が能なしで、学者が卓越した知見の持ち主という訳ではあるまい。この両書のように理論のみで流れを変えることはなかなか難しい。そこをどうすれば動かしていけるのか、そのテクニックは残念ながら学者の多くは持ち合わせていないようにも感じる。

ちなみに私は役所の人も学者も決してバカになどしていない。私なんかより何倍も優秀な人たちだった。そして人間的に好きだった。それこそ自分が働いていた会社の同僚や上司なんかより遙かにコミュニケーションが楽しかった。お役所の人は国土交通省の本庁のエリートですごく言葉遣いも丁寧で素敵な女性だったし、学者は本郷の教授で、それはそれはすごい人だった。その両方を私はとても尊敬して会議に臨んでいた。そしてそれは私にとってたいへん有意義な時間で学ぶことも多かったのである。

ここからはオマケだが、ちなみに本郷へは何度か足を運んで、そこでも会議に参加させてもらった。所属していた社団法人の理事長に頼まれて参加することになったのだが、最初の会議は今でも忘れない。私ともうひとり別の財団法人の人が呼ばれていて、そこで10分くらいそれぞれ所属する団体の活動について話すことになっていたのだが、私のほうは当日理事からちょっと本郷に行って10分くらい話してね、資料も何もいらないから、と言われたので、いいですよ、と軽く返事をして出かけた。本郷に着いて広い広いキャンパス内をテクテク歩いて会議室のあるビルに着くと、教授の助手がパワポのデータをセットしますのでください、なんて言う。えっ?いいえデータはありませんのでホワイトボードを使わせてください。ととっさに答えて席に着いた。持ち時間も30分と聞かされた。で会議の出席者がまたすごかった。大手自動車会社の研究員ばかりで、全員博士だった。これは名刺交換してわかったことだ。で、先に財団の人がパワポで慣れた様子で説明している間、私は何を話すか必死に考えた。それでここにいる人たちの専門でないおもしろいハナシをホワイトボードを使って30分間話をした。これはまあまあうまくいったと思っている。先の財団の説明では何人か寝ていたが私の時はみんなおきていて聞いてくれたからだ。まあ若い私がかわいそうで寝なかっただけかもしれないが。

私の話が終わって、席に戻ると携帯電話が鳴った。廊下に出て電話に出ると私に出席を依頼した理事だった。いつまでやってるの、新橋に飲みに行くよ、だって。こっちはたいへんだったんだよ、といって電話を切り、その後会議も終わって新橋に着くと、どっと疲れがでて、今日は私は飲み会費ナシだね、といって飲んだのを覚えている。久保田千寿が身体に染みた。




デスクまわりの「ちょい置き」について

 今日は久しぶりに電車で少し遠くまで行った。先日完成した遊園地アトラクションの模型の納品に奥多摩の少し手前まで。こんなところにオフィスがあるのだ。オフィスに着くと「遠くまでわざわざすみません」と挨拶されるような場所だ。でも空気は山の空気で気持ちが良い。深呼吸しながら歩いた。


奥多摩の山が近い



帰宅後いろいろ来ていたメールに返信してふと机のまわりをながめるとすごく散らかっている。やれやれ、忙しいのもあるが、こんなのダメである。反省を込めて写真を撮った。

まずはMacの作業机、3D-CGのレンダリング中に撮影しそしてこれを書いている。


Macの作業机


ここはそれほど散らかってない。でもスピーカーの上になぜか木工用ボンドが置いてある。

次はサイドデスク

サイドデスク


ここはひどい、打合せに持って行ったお茶のペットボトル、読みかけの本が2冊、色見本帳、スケッチ、レシートなどひどいことになっている。それぞれ理由はある、お茶は残ったのでもったいないので仕事しながら飲もうとここに置いた。本は今日電車で読むのに持って行ったので帰ってからお茶と一緒にカバンから出して置いた。色見本は模型の色確認でここ数日ちょこちょこ使ったので置いてある。レシートはヨドバシから届いたプリンターのトナーの領収書、トナーを下に入れてレシートはサイドデスクに仮置きしてそのままになっていた。スケッチは乾くまでここに置いておきスキャナーで読み込んだ。とそいういうことなのだが、言い訳してもダメなものダメ、やはりこの「ちょい置き」をどうにかしないと問題は解決しないように思う。

次に本棚

本棚


本棚の下はプリンターとアンプが置いてある。プリンターの上に図面が置いてある。先日相談を受けた一戸建ての図面である。確認は終わったのでスキャナーで取って処分しようと思っていたのだが取るヒマがなかったのでここに置きっぱなしになっている。やはりここでも問題はちょい置きである。

次に作業机


作業机


ここもきたない。今日郵便で届いた仕事関連の請求書、模型の材料や道具が置きっぱなしである。

最後に黒板


黒板



ここだけきれいさっぱりである。月初めなので一旦すべて消してキレイに拭き掃除して後で書き直す予定なので。右下には娘がいたずら書きしたふーちゃんがあり、これは消さなかった。

わかってはいるが「ちょい置き」をどうするかである。少し真面目に考えることにしよう。今思いつく解決策は2つ、「ちょい置き」そのものをやめるか、「ちょい置きスペース」を別につくるかである。そうすれば今のように机の上やサイドデスクなどは散らからない。他に方法あるかな?

で、まずは何はともあれ片付けることにした。幸い仕事は忙しいが3D-CGの仕事なのでレンダリング中はいろいろできる。


3D-CGムービーの計算中






サイドデスクの上のものもすべて片付けた


色見本帳をすぐに引き出しに戻さなかったのは引き出しの前に交換用のトナーが置いてあったからで、これを別の場所に移動し、引き出しの出し入れを邪魔するものがなくなった。

本棚



読みかけの本をすぐに棚に返せるように少しレイアウトを変更した。また絵はがきも2つだけにした。これで出し入れが楽になる。

作業机



さて、ここが問題だった。ここには「ちょい置きスペース」を作ることにした。方法はいまモニターの上に置いてある小物・雑物の入ったボックスを3つだけにする。ボックスはもともと8個置いてあったが、アクリルガッシュと梅ざらの入った3つをここから別の場所に移し、またここにないと不便なきわまりないもの以外はすべてここから別の場所に移動した。これが結構多かった。それで空いたスペースに「ちょい置きトレー」を2つ並べることにした。


製作中の「ちょい置きトレー」



3D-CGのレンダリングはいくつもあるので、計算をセットして工房へ行き作業し、戻ってデータをチェックして次を計算して・・・とそれのくり返しである。

なんとか2つトレーが完成した。

「ちょい置きトレー」



出し入れをしやすいように前面はオープンにした。材料はセリアという百均で売っている木材を使った。トレー1つの材料代はなんとたったの300円である。

これを先ほどの空いたスペースに入れて使いながら様子を見ることにした。

ちょい置きスペースができあがった




これで少しは良くなるはずだが、すべて解決とはいかないだろう。それでかまわない。またその時考えればいい。少しずつでも良くしていくことが大切で、そのための時間や労力を惜しまないことである。そう、よく「どうせまた散らかるんだから・・・」とか「どうせやらないんでしょうね・・・」とかそういうことを言う人は嫌いである。なぜ、そんな風に批判しないと気が済まないのだろう?。いいではないか無駄だったとしても、そのときまた考えればいいのだし、おもしろがって見ていればいいだけではないか。





2025年2月28日金曜日

遊園地アトラクションの模型製作

 模型製作の仕事、遊園地のアトラクション。ウェーブスインガーというアトラクション。昔からあるアトラクションで最初に造られてから50年以上経つ。日本語では回転ブランコと言うらしいがウェーブスインガーという名称で一般化されているのでそのほうがよく聞く。

ウェーブスインガー(Wikipediaのシェアフリー画像)




今回、外装デコレーションのプレゼンをどうしたらよいかとクライアントから相談があり、全周ぐるりと見せるなら模型がいいのでは、と回答した。CG動画やVRでも良いが模型の方がわかりやすい。ただしこちらとしてはこの時期非常に忙しく、この模型だけに多くの時間は割くことができない。また高精度な模型を造るには費用もかかる。
そこで今回はデコレーションのプレゼンに特化した模型を製作することにした。
したがって細部の作り込みや人の乗るブランコ部分も製作しない。

ウェーブスインガーは上下に伸び縮みする「軸柱」と搬器をぶら下げる「傘部」そして人が乗る「ブランコ」から成る。軸柱と傘部のジョイントは「球」となっている。まずは傘部と球を製作する。


傘部と球



球は本来アクリルやPETなどの球をAmazonや東急ハンズなので探すのだが、今回は時間がないので、中国製の安いLED電球100W形から球部分のみ切り出すことにした。素材としての球はAmazonに注文しても到着まで何日もかかるものがほとんど、東急ハンズにもあるかもしれないが買いに行く時間がない。そこで目を付けたのがLED電球である。これなら翌日には配達される。径もぴったりのようだ。
次に傘の部分。ここは発泡塩ビ版3ミリを使った。発泡塩ビは値段は高いが加工がとても楽なのでモックアップなどにはよく使う。
届いたLED電球から切り出した球を切り出すと材質はおそらくポリプロピレン、つまり接着剤が効かない。そこで接続部分は2液型のエポキシ接着剤を表裏をつなぐブリッジとして用いて発泡塩ビ板に固定した。接着剤の効かないポリプロピレンを接着剤のクランプで挟み込むようにして留める。古い人にはリベットのように使うと言った方がわかりやすいかもしれない。

PP(ポリプロピレン)の留め



次に傘のベース部分にフレーム取付用のマーキングをした。
そしてフレームづくり。ここも発泡塩ビ。今回はほとんどの部分を発泡塩ビで製作することにした。展示会用のしっかりした模型の場合、発泡塩ビは使うことができない。柔らかいので爪で押しただけで跡がつく。だが今回はプレゼン用である。製作しやすさを最優先とした。発泡塩ビの長所はカッターで楽に切ることができ加工が早く、アロンアルファで強力に接着できるので組立てが早いこと。また力をかけても曲がるが割れにくい。反面、短所は前述のように柔らかいので強度がなくキズになりやすいこと。そして材料の値段が高いことだろうか。同じ厚みで比べてもアクリル板の方が安い。

フレーム(これが傘の骨にあたる部分となる)



さてこのフレームだが、形状が直線ではないので電動糸ノコ盤を使って5ミリの発泡塩ビを4枚ほど重ねてカットすることにした。
カットしたフレームを傘のベースに接着する。接着剤はアロンアルファを多用した。今回の模型製作でアロンアルファを4本ほど使った。ただし力がかかる部分はアロンアルファで接着後エポキシ接着剤を盛って強化した。

フレーム取付



フレームにはパネル取付用の受け材を取り付けた。16本のフレームづくりに半日かかった。ちなみに作業は他の仕事の合間合間だったのでトータルでどの程度時間がかかったかは定かではない。おそらく延べ工数で丸3日と少しくらいだろう。アロンアルファ接着後は連続して作業できるがエポキシ接着剤を使った場合固化するのに12時間程度かかるので、その間は他の部分を作るかまたは別の仕事をすることになる。また、今回の模型は図学的に各部の板取り図を計算するのがとても大変だった。
フレームにエポキシ接着剤を塗布しこれが固化するまでの間に屋根を作った。

屋根(フレームを付けたベースに置いて合わせてみたところ)



この屋根も反りがあるので板取り図を作るのが大変だった部分。屋根の頂部はポリエチレン樹脂の半球から切り出したドームを取り付けた。このポリエチレン球体はたまたま家にあったもの。

さて、次は軸柱の製作、ここも発泡塩ビを筒状に巻いて製作した。実はこういうプラスチックの素材を円筒に加工するのはなかなかうまくいかない。キレイな円筒にはまずならない。だから通常はパイプ材などをカットして使うことが多い。だが今回は前述のように材料を探す時間も手配する時間もないので仕方がなく巻くことにした。
軸柱ができたところで全体を仮組みして図面と照らし合わせチェックする。

塗装前の仮組み



次はいよいよ塗装である。ただしオーナメント部分は紙にプリントしたものを貼り付ける予定なので単色部分のみの塗装である。まずは紙を貼る部分も含め全体にサフをかける。今回はホワイトのサフ。サフの次はマスキング、これにだいたい1時間くらいかかった。マスキングが終わったのでエアブラシで塗装を始める。ラッカー塗料なので寒いが換気しながらの作業である。

エアブラシ



ウチのエアブラシはコンプレッサーが非力で大面積を一気に吹くのは苦手である。もう少し模型の仕事が増えればコンプレッサーは買い換えたいところ。2〜3倍くらいパワーが欲しい。ま、そのうち。

塗装はラッカーなのでエアブラシで吹いた後すぐに乾く。安全を見ても1時間もみれば十分。塗装の次は厚紙にレーザープリンターでプリントしたオーナメントを貼り付ける。受注金額と製作期間が10倍くらいあれば3Dプリンターでオーナメントは作りたいなどと考えながら今回はプリントをスプレーノリで貼り付けていく。

オーナメントの貼り付け作業中



ドイツのメーカーから送られてきたいい加減な画像やクライアントから送られてきた泣きたくなるような参考写真を元に一手間も二手間もかけて見られるものに変えていく。このグラフィックの編集作業にすごく時間がかかった。ただしこれは毎回同じなので想定内ではある。

すべて貼り終わり、ベースをつけて完成である。
完成模型







2025年2月11日火曜日

撮影用の照明器具の製作(後編)

 前回のつづきで写真撮影用の大域照明用アンブレラライトの製作。

前回アンブレラを新調し壁面(正確には本棚)に留めるための治具とアームづくりについて書いたが、LED電球昼白色を6灯使った灯具については既存のものを転用するつもりでいた。しかし灯具を外しチェックするとあちこち傷んでいて、さらに電球ソケットのカバーは紙筒を塗装したものだった。なにしろ10年以上前につくったものなのですっかり忘れていた。やはり作り直すことにした。作り直すにあたり、性能・機能を少しだけ改良することにした。まずLED電球の数を6灯から8灯に増やし、重量を抑えるため素材を発泡塩ビ版3ミリに変更した。前のタイプはソケットの配線接続部をエポキシパテで固めていたが今回は発泡塩ビにビス留めにした。発泡塩ビはカットが他のプラスチック素材に比べ圧倒的に楽だ。また加熱すると簡単に曲げることもできる。アクリルのように落としたりぶつけたりしても割れることもない。ただし強度的には特に曲げに弱いので形状や補強方法に工夫が必要だ。だがそれさえクリアすれば前述のように便利な材料だ。

今回、照明を8灯にしたのは4灯づつオンオフできるようにしたかったからだ。本来、調光できればベターなのだが、4灯ずつのオンオフでも実用上問題はないだろう。また配線は直接長いケーブルが付いていると設置や収納の際ハンドリングが悪いので電源プラグを新規に取り付け、後からケーブルを差し込む方式に変更した。

製作途中の灯具(左が板取り、右は発泡塩ビを熱曲げで組立てソケットを付けたもの)




組み上がった灯具に電球を取り付け点灯試験の準備中



電源ケーブルにはメガネケーブルを使うことにし、灯具側にメガネジャックを付けた。2系統なのでメガネジャックは各2つづつ付いている。また前回紙筒を使っていたソケットカバーはゴム製に変更した。
このゴムは手すりなどの滑り止め材を転用したものだが厚みが結構あり重かった。カットした後1枚ずつカッターナイフで削いで厚みを半分にした。これが結構大変だった。

ソケットカバーのゴムを半分の厚さまでそぎ落とす



灯具の根元にスイッチを取り付けた



できあがったアンブレラライトを図書室に持って行き点灯試験をした。

点灯試験中



また娘に手伝ってもらって作ったディフューザーも取り付けてみた。
ディフューザー



あとは時々向きを変えたりしながら何日かこのまま様子を見ることにする。だんだん傘が下がったり、ディフューザーの留め具が外れたり、灯具が熱くなったりしないかを確認する。これでアンブレラライトは完了である。

次はLEDパネルライトのアームである。こちらは軽いので比較的簡単である。以前はデスクライトのアームやフレキシブルアームを撮影台などに仮留めして撮影していたがいくつか問題があった。

以前の使い方



デスクライトのアームはブレーキ機構がないので少しでも触れると動いてしまうことが問題だった。またフレキシブルアームは元の長さでは軽いLEDパネルライトでもその重量を支えきれず下がってしまうことがあった。
このLEDライトは補助照明としてハイライトを入れたり背景の影を薄くしたりと位置調整が微妙なライトである。決めた位置でしっかりホールドできないのはストレスだった。また、デスクライトのフレームとフレキシブルパイプの両方に共通する問題として撮影台への留めがあった。ここがどうにも頼りなく安定せず、また撮影台に留めた関係で背景紙がこの部分にはフラットには載らず、撮影に支障があることもあった。
これらの問題をすべて解決する。まずデスクスタンドのアームは使わない。すべてフレキシブルパイプにする。そのためデスクスタンドのアームは処分し、フレキシブルパイプを追加で注文した。そしてどのような角度でもライトの重みで下がってこない長さにフレキシブルパイプを短くカットして組み込むことにした。さらに留めは撮影台ではなくアンブレラライトと同じように本棚からアームで出すことにした。
こうしてほぼ完成したものがこれ。

LEDパネルライトの試験中



図書室は寒いので書斎の本棚に仮留めして試験をしている。それぞれ様々な角度に調整しキチンと位置が保持されることを確認した。よしよし。
また、今回は電源の取り方もひと工夫した。今まではACアダプター付きケーブルの長さが足りずに照明の位置を高くするとACアダプターとテーブルタップが空中にぶら下がることが多々あった。また撮影の際、テーブルタップの電線がいつも床に何本もあって足が引っかかったる心配があった。今回は本棚に取り付けるアームの付け根にインレットを用意し、そこにACアダプターを差し、このインレットにはメガネケーブルで給電することにした。大元のコンセントは本棚の上にリニアーに配置する予定である。ここはまだ工事していないが、完成すれば床面からケーブルがなくなるので、より安全に快適に撮影ができるだろう。

さて、最後に先日購入した水準器のリモートスイッチの変更である。モーメンタリからオルタネートタイプに変更する。で、先日カミさんと娘と一緒に散歩の途中で寄った百均でおもしろいものを見つけた。子供のお弁当の海苔を切り抜くための海苔パンチである。これがかわいらしいので改造してスイッチにすることにした。中の機構をすべて取外し代わりに新しく届いたオルタネートスイッチを入れてみた。

水準器の遠隔スイッチ




仕事の道具ではあるが、これくらいは遊んでもいいだろう。遊び心のない環境で仕事をしても良いアイデアなんて浮かばない。少なくとも私は。それにこの海苔パンチ改造スイッチだがボタンが大きく押しやすい。そしてコンパクトで場所もとらない。できあがったスイッチをカミさんと娘に見せたらケラケラと笑いながらスイッチを押して楽しんでいた。

さあこれで撮影照明はほぼすべて完成したことになる。

その後この設備一式を収納する箱を作ることにした。8ミリ厚のダンボールを使いコーナーなどを超厚口(270g/㎡)クラフト紙で補強した。収納箱は、2段重ねの重箱方式で上の段にアンブレラライト一式、下段にLEDパネル照明一式が入っている。一式とは文字通り全てで、アームから治具、電源、ケーブル、電球などすべてである。こういうのは2つ以上の箱に分けて収納してはダメだ。必要なときにこの箱1つで全て揃っていることが重要だ。ただし水準器だけは入れなかった。これは照明とは異なるので、そのうち製作予定の撮影用小物入れに収納する方がよいと考えた。

写真用照明収納箱



収納箱の外形寸法はおおよそ幅60センチ×奥行き30センチ×高さ30センチ。少し重いが家の中の移動なので問題ないだろう。これで撮影用照明の制作はすべて完了である。

つぎは撮影用小物箱もあるが、その前に撮影時につなぐMacbookAirの台がほしい。撮影時MacbookAirの置き場は結構重要で、MacbookAirはリモート撮影のため、そしてリアルタイムで大きなモニターで確認する上で必修なのである。私の撮影スタイルは画角は当然カメラで決めて、ピントや露出も基本カメラで決める。その後MacbookAirの大きな画面で被写体や照明の微調整をし、必要に応じてカメラに戻り画角などを微調整し、再度MacbookAirに戻り再確認し、MacbookAir側でシャッターを切る。
つまりカメラとMacbookAirは行ったり来たりするし、MacbookAirで確認しながら被写体も調整する。だから前述の通りMacbookAirの置く位置は効率よく撮影するためにとても重要なのである。今は市販のワゴンの上に置いたり、撮影台の被写体から少し離れた位置に置いたりしているが、理想はもう少しフットワークのいい専用台だ。キャスター付きで移動可能なのがいい、ただし転倒してはいけないので脚部の広がりは邪魔にならない範囲である程度必要だろう。このあたりのさじ加減が難しそうだ。まずはいつものように図面を描き、材料を買ってきて加工、仮組みしてチェック、修正してまたチェック、とそんな感じで作っていこう。
ただしこれも仕事が結構忙しくなってきたので、どうしても合間の製作になる。1ヶ月くらいかかるかな。






2025年2月5日水曜日

撮影用の照明器具の製作(前編)

 以前書いたが、ウチの図書室は写真撮影室を兼ねている。そして目下改装の真っ最中である。とはいえ娘の卒製に1m×2mの台が必要になった関係で、この部屋を臨時で娘の卒製作業部屋にしてあったので改装作業は2ヶ月に渡りお休み中である。最近卒製の作成が終わったらしく、ようやくもとの作業にかかれるようにはなったものの、なにしろこの時期、毎日寒い。娘の卒製作成中は石油ファンヒーターを使っていたが、改装ではちょっとファンヒーターは使いにくい。というわけで急ぐハナシではない、改装は暖かくなってから再開することにした。

そんな訳で図書室としても撮影室としても使うことができない状態になっている。だがそんな時に限って写真撮影の仕事が入ったりする。商品約20点の写真撮影の注文が入った。やれやれ。写真撮影の仕事はそれが主業務ではないので年に2〜3回程度、それがこの時期に入ったのだから運が悪い。まあ、仕方がない。

幸い娘の作業は終わっているので製作台を片付け、部屋の掃除をし、撮影テーブルを元の位置戻した。だが背景のクロスも外したままで取付け金具などもすべて撤去してしまっている。また、照明も大きなアンブレラは反射板が傷んできたので捨ててしまった、代替用に新しく購入したアンブレラは取付けの治具などがまだ付いていない。そのほかの照明器具も中途半端な状態で隅に置いてある。さてどうするか。

1つはテープや針金でも使って暫定で撮影環境を作り、今回の撮影のみ乗り切る方法。

もう1つはせっかくだから多少時間はかかるが計画を前倒しして最低限必要なものを製作、撮影に使う方法。この方法なら改装後もそのまま使える。

初めは暫定の方に気持ちが傾いていたのだが、少し仕事も余裕ができたのと、暫定では結局今回の撮影ではいろいろフラストレーションで仕事を楽しめないかな、と思うようになり、結局後述のある程度先行して作る方を選ぶことにした。

照明の詳細は、まずアンブレラの大きな照明が2灯、小物撮影用のLEDのコンパクトな照明が4台の計6台に予備としてスポット照明が1台ある。このスポット照明はほとんど使わないので今回はスポットを除く6台を使えるようにすることにした。

アンブレラ照明


まずアンブレラ照明の製作にかかる。この照明は被写体から少し離れた位置から被写体とその周辺をまんべんなく照らす環境照明なので、本棚に仮止めし位置が移動できるようにする。図書室は狭く照明用スタンドを立てると邪魔なので一般の撮影スタジオのようにはいかない。極力床面を使わないことが理想なのでカメラ三脚以外は本棚に留めたいのである。本棚はかなりしっかりしているので照明を付けたくらいでは全く問題ない。アンブレラは今回新調したが灯具は以前製作した物がまだまだ使えそうなので転用することにした。E26の電球、60W形の昼光色のLEDを6灯使う。

で、アンブレラの固定方法だが、アーム付きの治具を小型クランプ2つで本棚にベースを留め、アームのその先に角度が振れるようにアンブレラを取付けるようにした。アンブレラと照明器具を合わせると結構重いので強度と使い勝手のバランスが肝だ。角度を振る部分には雲台などは使わずアルミの針金を使った。これは通常の雲台では重くて固定することができないからで、費用的にも雲台よりはるかに安上がりだ。針金と言っても結構太く、ビニールコーティングの直径10ミリもある。またアンブレラ側の治具だがアンブレラの石突き部分の金具(フタ)を外してここにナットを取り付ける予定だったが強度的に弱くオハナシにならなかった。いろいろ検討しこの石突き部分の受けにドリルで孔を開けパラソルの芯まで通す形で長ボルトを差し込みこれをエポキシ系の接着剤で固定することにした。

石突き部分の改良



これでも強度的に大丈夫なのかはわからないが現時点でこれ以上の策は思いつかない。まあ壊れたときはまた考えることにする。

本棚に固定するための治具も作り始めた。アンブレラ用とその他の照明用、さらに被写体の設置位置をマーキングするためのレーザーマーカー用の治具である。

製作中の治具



クランプの付いているものが本棚への固定治具でパラソル用はまだクランプが付いていない(手前2つ孔のタイプ)。

治具は最終的には塗装する予定だが真冬のこの時期、油性調合ペイントは塗料の乾燥に2週間くらいかかるので今回の撮影は無塗装で行い、撮影が問題なく終わったら塗装しようと思う。

また連続して類似の商品を多数撮影するような場合は撮影位置を揃えるためにレーザーポインタまたはレーザー水準器があると便利だ。機能的には十字で表示される水準器がベターだが値段が高い。レーザーポインタななら数千円ですむ。Amazonで調べると国産の水準器は3万円以上だが中国製の安物なら3千円くらいからあった。水準器というのは本来の使用目的は土木建築の墨出しなので精度や信頼性が大切で。変なものを使って精度が狂うと工事のやり直しになる。だからこんな安物はプロは使わないだろう。だが私の目的ならこれで十分だ。被写体にレーザーを当てて位置を確認するだけなので。ということで怪しい中国製を購入した。3580円だった。ただし水準器というのはスイッチオンで点灯したままとなり消灯するには本体のスイッチを切らなければならない。ここで問題なのがオンにして位置を合わせ、撮影するときオフにすると本体が微妙に動いてマーキング位置がずれてしまう。それでは意味がない。解決策は遠隔でオンーオフできるスイッチを追加することだ。

さっそく改造にとりかかる。水準器ボディの電池ケースの渡り金具を外し中央で切断、それぞれに電線をハンダ付けした。この電線の先にプッシュスイッチを付け本体のスイッチを入れておけば、このリモートスイッチを押している間だけマーカーが点灯する仕組みだ。

レーザーマーカーの改良した電池ボックス



リモートのための電線は先日macintoshのアンプコントローラー制作の時に使った直径2ミリのキャブタイヤケーブルを使った。

レーザーマーカーとスイッチ





スイッチは押しボタン式で、押している間だけオンのモーメンタリータイプで良いだろうと考え、これもアンプのコントローラーで使ったスイッチの余りを使うことにしたのだが、少し試してみてやはり被写体設置時に両手が使えないと不便なことがわかりスイッチは変更予定。オルタネートタイプをヨドバシに注文した。現在到着待ちである。

ちなみに

モーメンタリースイッチ:押しボタン式スイッチで押している間だけオン、離すとオフ。

オルタネートスイッチ:1度押すとオン、手を離してもオンのまま、もう1度押すとオフ。

さて、撮影の方は納期もあるのですべて完成してからでは間に合わない。そこでパラソル照明とレーザーマーカーは今回製作して使い、LED照明は既存のまま仮留めで撮影を決行することにした。

この撮影はとても有用だった。使ってみると設計段階ではわからなかった問題がいろいろ見えてきたからだ。アンブレラのアームは今回は使えたが理想を言えばもう少し強度がほしい。水準器も治具への留め方を変更することにした。

それでも無事撮影は終了し、一段落。ただし他の仕事がにわかに忙しくなってきた。当然仕事優先である。全て完成させるにはもう少しかかりそうだ。

後編につづく。





2025年1月25日土曜日

アンプのコントローラーの製作

 MacのデスクトップオーディオにはMacMiniからUSB-DAC経由でアンプはmacintoshのMA6450、スピーカーはヤマハのNS1classicを使っている。

macintosh MA6450


音楽用ソースは古いインテルのcore7のMacMiniをiTunesプレーヤーとして使っていて、仕事をしながら音楽を聴いている。仕事用のMacはこれとは別にMacStudioとアップルシリコンのMacMiniがある。

このうちMacStudioにはグラフィックデザイン用のソフトの他に動画編集ソフトのAdobeのAfterEffectsやPremiere、音声編集ソフトのAdacityなどがインストールしてある。動画編集の仕事ではこれらを使って作業するのだがプレイバックの際は、MacStudioのステレオミニジャックからケーブルをMA6450につなぎ、音楽と同じように再生している。本格的な編集作業ならオーバーヘッドタイプのヘッドフォンだろうが、同じフレーズをヘッドフォンで何度も何度も聞いていると頭が痛くなる。だから私はスピーカーから音を出してチェックしている。さいわい書斎はとても静かなので今までこのやり方で問題はなかった。

この方法で面倒だったのは、MacStudioはテレビ会議でも使うので、その時はステレオミニジャックにヘッドセットをつないで会議に参加することで、つまりMacStudioのミニジャックは音声編集時はアンプにつなぎ、WEB会議の時はヘッドセットにつなぎ替える必要があった。

だが、ラックに入れたMac本体の背面ミニジャックにケーブルを差し替えるのは手間がかかる。そこで今までは4極ミニの延長ケーブルをMacStudioにつなぎ、ケーブルの反対側をデスクトップに転がしておき、そこにアンプへのケーブルやヘッドセットをつなぎ替えて使っていたのだが、ケーブルが常にデスクトップにあるのですっきりしないし、掃除のときも邪魔である。

解決策としてはヘッドセットにはUSB接続のものもあるので、それを使えばいいのだが、USB接続のヘッドセットは音がオハナシにならないくらい悪く、試しに買ってすぐに捨ててしまった。ヘッドセットはミニジャック接続のゼンハイザー一択というのが私の結論だ。だからどうしてもつなぎ替えが必要だった。

また、音楽を聞くときもアンプは少し離れていて、スイッチを入れたりボリュームを変えたりするのがちょっと面倒だった。macintoshのアンプにはリモコンが付属していて、これをサイドデスクに置いて操作することもできるが、私はあまり電化製品のリモコンというものが好きではない。じゃまだし見つからないことも多いし見た目も良くないからである。電話がかかってきて音楽の音量を下げるのに「えーとリモコン、リモコン・・・」なんて勘弁してもらいたい。だから今までオンオフ、ボリュームのアップとダウンの3つのボタンだけのシンプルなボタンユニットを自作してそれをモニターの下に貼り付けて使っていた。これはとても使いやすかった。

そこで、今回はこの小さなボタンユニットのバージョンアップ版を製作することにした。併せてMacのミニプラグの出力先の切替えもできるようにし3台のMacの延長USBポートも付けることにした。

まずは図面を描く。

設計図



次に材料の手配。用意した材料は、Amazonで売っている安い中国製の学習リモコン。そしてプッシュスイッチ、4極のトグルスイッチ、ミニ4極の延長ケーブル2本、ケース用のアクリル板、電線、その他である。

まずはAmazonの学習リモコンにmacintoshのMA6450のオリジナルリモコンから必要なものを覚えさせるところから始める。これは説明書を見ながらで超簡単。リモコンに付属の説明書は英語だが中学生レベルなので悩むことはないだろう。このリモコンは855円だったがこの値段とは思えないほどよくできている。ボタンは6つしかないが最低限の機能のみなので全く問題ない、そしてメモリーが不揮発メモリーなので電池交換しても覚えている内容を忘れることがない。たいしたものである。


Amazonの学習リモコン



さて設定を覚えさせたらキチンと機能するかチェックした後、リモコンを分解する。安いので中身もシンプルだ。基板1枚のみである。電池入れ部分のハンダ付けを外し基板を取り出す。次に基板のボタン部分の塗膜をカッターで少し削って金属面を現し、そこにケーブルをハンダ付けする。

スイッチ部分にケーブルをハンダ付け




このケーブルにプッシュスイッチを付ける。プッシュスイッチもAmazon中国製。なんと15個で999円。でも以前この手のスイッチを買ったら10個中不良が3個あったので今回はつなぐ前にチェックすることにした。ちなみにプッシュスイッチには2種類「モーメンタリ」と「オルタネート」がある。モーメンタリはボタンを押している間だけスイッチが入り、手を離すと切れるタイプで、玄関のチャイムやバスの降車ボタンなどに使われる。オルタネートは一度押すとスイッチが入り手を離してもスイッチは切れない、もう一度押すと切れるもの。車のハザードランプのスイッチが代表。今回使うのはモーメンタリスイッチ。

スイッチのチェック


ミニケーブルの切り替えもスイッチが必要だ。こちらはトグルスイッチを使う。これもAmazon、2個入り693円。トグルスイッチというのは下の写真のようにバーなどをカチッと上げ下げしてオンオフやオンオン(切替え)で使うスイッチで、特に今回のような4極の切替えではこのトグルスイッチかまたはロータリースイッチを使う。ロータリースイッチは昔々のテレビのチャンネルのように回して切り替えるスイッチ。ちょっと例えが古すぎかな。そうね、車のエアコンの風量調整はロータリースイッチが多い。ロータリースイッチは多極をA、B、C、Dと切替え先が多い場合には便利なスイッチだ。今回のように2系統切替えならロータリースイッチにするまでもなくトグルスイッチの方がコンパクトで使いやすい。

4回路2接点のトグルスイッチ



で、そのトグルスイッチだが4回路2接点のものを用意する。4つの信号(今回は4極ミニプラグの4回路)をA、Bの系統(接点)に切り替えるタイプ。これを使えばミニ4極のジャックをヘッドセットとライン出力で切り替えて使えるようにできる。
ここで問題発生、4極のミニジャックはAmazonにも電子部品屋さんにも部品としての販売は見つからなかった。仕方がない、4極ミニの延長ケーブルを2本買い分解してジャック部分のみを取り外しケーブルをハンダ付けして使うことにした。
アンプにつなぐ方の出力にはマイクの線は不要なので配線は音声出力の3本のみ取り付け、またアンプ側へのアウトプットコネクターもRCAピンジャックにした。

こうしてできあがったリモートコントロールユニットがこれ。

リモートコントロールユニット


表側
左奥からプッシュスイッチが5つ。1.オンオフ、2入力切替え、3.ミュート、4.音量上げ、5.音量下げ。中央にUSBポートを3つ、Macが3台あるのでそれぞれに1ポートずつ。一番手前はトグルスイッチとヘッドセット用のジャック。
裏側
奥から順に、電源ケーブル、リモートコントロールの赤外線発行部のLEDのケーブル、ラインアウトのピンジャック2つ、ミニジャック(4極)入力、USBケーブル3本
である。
赤外線発光部はアンプに赤外線が届く位置に設置する必要がある。そこで直径2ミリのキャブタイヤ2芯ケーブルで少し離れた場所からLEDをアンプの受光部に向けるようにした。このキャブタイヤもAmazonで購入、5mで855円だった。使ったのは1m。電源ケーブルは電池ボックスにつなぐ。単三電池2本で3ボルト。ACアダプターでもよいが電池の保ちはすごく良いので電池でいいだろう。

USBポートはi-phoneのバックアップを取ったり、WEB会議のカメラをつないだりに使う。USBケーブルはヨドバシで購入、1180円が3本で3540円。

さて、こうしてできあがったユニットをモニター下に設置した。

目立たないようにモニター下に設置




モニター下と書いたが正確にはモニターには留めていない。向こう側のラックに留め、モニターとは縁を切っている。モニターは時々アームを動かして手前に引き出すことがあるのでこのスイッチが一緒に引っ張られるとケーブルも引っ張られ、モニターを戻すとケーブルが垂れ下がる。それが嫌だったから。
さあこれで今までよりだいぶ使いやすくなり机の上の配線もなくなりさっぱりした。
めでたし、めでたし。