前々回だったか、仕事をしているとどうしてもデスクまわりに「ちょい置き」があり、これが仕事場所が散らかる元凶になっている。だからちょい置きは極力やめにして、どうしても必要な分は、つまり避けられないものは「ちょい置きスペース」を作り、そこだけに置くことにする、と書いた。
その後、ちょい置きスペースも木製のトレーを2つほど作った。以来届いた郵便物や参考の冊子などはこの「ちょい置きスペース」を活用している。
いまのところうまくいっているように感じている。今日は仕事で水彩画を描いているが、絵の具が乾くまでの間にデスクまわりのチェックをした。
コンピューターの作業机は特に問題ないのでサイドデスクと作業机だけチェックする。以前も書いたがこの写真を撮るときには一切手を加えず、ありのままを撮るのがルールである。片付けたのでは意味がないからだ。まずはサイドデスク。
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| サイドデスク |
ここは問題ない。書類が置いてあるが、やりかけの仕事で必要な書類なのでこれらはよい。
次に作業机
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作業机 |
ここも問題ない、描いている水彩画の道具だけである。少しモニター前が散らかっているが、これくらいはよいだろう。ちょい置きスペースにもあれこれ置いてある。つまりちゃんと使っている。よしよし。描いているのは鹿の絵、カタログに使う水彩画に鹿を入れてほしいという要望があったので鹿を描いている。カタログの挿絵の場合、芸術作品ではないので、鹿だけ描いてスキャン後画像合成で入れる。だから元の水彩画には手を入れず、鹿だけの絵を描いている。下図を描いて水彩画に仕上げてでだいたい20分くらいだろうか、もっと短いな、多分。だが描いては乾かし、また描いては乾かしなのでそういう意味では30分以上かかる。乾くのを待っている間にこれを書いている。
以前は3Dの計算中に水彩画を描いたりしていたが、最近のコンピューターはスピードが速いので計算時間はとても短い。ちょっとしたカットならウチのM1ultraのMac Studioなら数分で計算は終わる。だから思考が分散しないように3Dは3D、水彩画は水彩画とすることが多い。ときどき1時間くらい計算にかかるものもあるが、そんな時は計算中に別の仕事をすることもあるが、最近は少ない。
さて、鹿も描き終わったので乾くのを待ってスキャンニングである。乾くまでもう10分くらいだろう。ついでに撮った本棚の写真
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本棚とアンプ、プリンター置き場 |
ここも問題ない。ちょっと気になるのがこのアンプやプリンターの下に置いてあるプリント用紙や大型の孔あけパンチや中綴じ用のこれまたデカいステープラーである。かなり大きいので他に置く場所がないのだが、そのうちなんとかしたい。
さて、鹿の絵だが合成したが納得いかず結局すべて描き直すことにした。やれやれ。
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描き直した絵 |
これは透明水彩を描いている人には常識かもしれないが、透明水彩のパレットはめったに洗わない。それぞれの小窓にバランス良く絵の具をチューブから出しておき、これに水を含んだ絵筆でなでて筆についた絵の具を広い場所で他に色と少し混ぜて色を作ってそれで絵を描く。透明水彩は乾燥してカチカチになっても水を加えればまた溶ける。だから毎回チューブから出して塗る必要はない。実に経済的だし、描きたいなとおもったらすぐに描けるのがいい。
ちなみにアクリルガッシュは同じ水性だがこういう使い方はできない。乾くとカチカチになり水を加えても二度と溶けない。だから梅皿も使い終わったらすぐに洗わないと使えなくなってしまう。アクリルガッシュは水性ペンキとほぼ同じように思われる。
もう一つ、エアブラシで使うラッカー、これも塗装が完全に乾燥してもラッカーを付けた布地などで少しこすると溶けて取れる。だから部分的に失敗しても先の尖ったタイプの綿棒で塗装を剥がし、再度エアブラシを吹くことができる。平らな面の場合はラッカー補修よりは目の細かいサンドペーパーまたはスポンジヤスリで軽くコシコシと塗装を落としエアブラシを吹く。エアブラシはオタク文化なので、いろいろ細かいこだわりを持っている人が多いので、こんなこと書くと「わかってないなぁ」なんて言い出す人がいるので、まあこのくらいで。
私は透明水彩が好きだが芸術的な絵が描けるほどの腕はない。だがときどき描く。3D-CGやイラストレーターとはちがった味があり、それが最適な場合があるからだ。だがまだまだうまく描けないので時々YouTubeなどの動画で勉強している。今は猛烈に忙しいのでそんな時間はないが、4月に入って少し落ち着いたらまた練習再開である。
思えば仕事の上での私のスキルはどれもまだまだで、世の中には上には上がいる。それは痛いほどよくわかっている。ではどうして私のところに仕事の依頼をいただけるのかというとそれには理由がある。と少なくとも自分ではそう思っている。例えばグラフィックデザイナーなんて世の中に掃いて捨てるほどたくさんいる。だからわかりやすいチラシのデザインなどは価格競争となることが多い。こういうやり方でこんな風に、でいくらで?となる。デザイナーAさんが10万円でデザイナーBさんが7万円だったらBさんの仕事になる。食い詰めデザイナーのCさんが5万円といえばCさんが時間単価1000円以下で取ることもある。仕事なくて遊んでいるより安くてもいいから、という理由で受ける。だからデザイナーはそういう仕事を生業にするのは大変厳しい。別の言い方をすれば長続きしない。こんなことやっているよりスーパーのレジ打ちの方が時給がいい、なんてことになるからだ。ソフトのスキルがあってデザインセンスもそこそこあってもそうなってしまう。
私の仕事は、建設系のカタログなどのデザインが多い。そしてダメ元で必ず提案を入れる。その提案は却下になることも多い。お客もいろいろで、言った通りでないと気に入らない人もいる。だが提案を真面目に検討してくれる人もいる。
お客は、たいてい「ウリ」を特長として列挙してくる、当然だ。だがそれが7つも8つもある場合、読み手はウンザリしてしまい、まず読んでくれない。だからこういう風に絞ってこれとこれはこういう風に表現してはどうでしょうか、と提案する。そのためにはこちらが技術をきちんと理解する必要がある。そうでないとそもそも提案など絶対できない。ちょっと文章が多いので少なくできませんか?なんて抽象的なこと言ってもなかなか動いてくれない。具体的にこういうのいかがしょうか、と提案できて初めて検討してもらえる。当然お客から提供される資料も理解する必要がある。図面が読めて技術資料の内容と照合しながら提案を考える。図面に関しては間違いを見つけて指摘できるくらいまでしっかり読む。
例えば今制作中の製品のカタログでは、基礎に特長があって通常製品ではコンクリートを使って大きな基礎を作ることが必要なのだが、この製品はコンクリート基礎無しで転倒モーメントに耐えられる構造になっている。お客さんは「コンクリート基礎が不要です」という説明書きを加えることを考えている。だが私は「どうしてコンクリート基礎無しでこれだけの応力に耐えられるのか」を説明する絵があった方がいいだろうと考え、それを提案する。
幸い私はお客に恵まれていて、黙って言ったとおりに作ってくれ、というお客はまずいない。いや以前はいたがそういう人は全部自分で原稿を作って、あとは印刷さんのデザイナーに安くキレイに仕上げてもらった方がよいので、私との関係は長続きしないということかもしれない。だが完成したカタログなどを見比べれば差は一目瞭然なので私への依頼は減らない。自慢ぽく聞こえるかもしれないが、これが実に大事なことなのであえて言わせてもらいたい。
つまり、デザインできます、イラレ使えます、ではまず食っていけないのである。中にはすごいイラストを描く人もいて、それで仕事もいっぱいあって、というのはあるだろうが、そこを目指すのは茨の道である。
もちろん技術を理解するのも常に学習が必要で、それはそれで大変だ。だが学習した分だけ確実に知識が増える。それの積み重ねでお客さんと充実したコミュニケーションが可能にもなる。そしてそこからアイデアも自ずと沸いてくる。あとはそれをどう表現するかだ。表現手法の提案があってはじめて説得力も出てくるというものだ。だから私は3D-CGもIllustratorも水彩画も使う。そのスキルは高ければ高いほどいいのは間違いないが、限られた時間のなかで、全部をナンバーワンを目指すのは無謀である。だがひとつだけに注力しすぎるのもよくない。それほどシビアに考える必要はないが、自分を斜め上方から眺めるようにバランスを取ることが肝要だ。
また、現状に満足して歩みを止めたらおしまいなので、いくつになっても学習とスキルアップは続けていく。
学習とスキルアップが楽しくて仕事をしているようなものである。